「晩ご飯を聞かれて『なんでもいいよ』と答えたら、妻が急に不機嫌に。理由がわかりません」という慎介さん(仮名・42歳)からのお悩み。この理由、あなたはわかりますか?
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「晩ご飯、何が食べたい?」
「なんでもいいよ」
「......(イラッ)」
たいていの夫は、ここでどうして妻が不機嫌になるのかわかりません。「なんでもいい」というのは、妻にとっては楽な提案なのでは?「チーズのせハンバー グ、季節の野菜添えがいい」とか、「今日はボルシチの気分」などと面倒なことを言っているわけじゃないのに。本当になんでもいいのに。ああめんどくさい。
妻が「なんでもいいよ」という即答に不機嫌になるのは、夫が全面的に頼りすぎているからです。
たしかに、夫婦の間で料理担当は決まっているかもしれません。交互に作る、一緒に作る、できるほうがやると決めている夫婦もいるでしょう。
でもその役割分担は、担当者が100%の責任を負うものではありません。担当を外れた者が担当者に任せきりにしていいわけではない。会社でも「他部署の仕事は自分には関係ない」という考えがダメなのと同じです。
ここは「夫婦で一応の役割分担はあるけれど、夫婦の両方がすべてに関わる。たとえ担当でなくても相手に任せきりにしない、他人事にしない」というスタンスが重要。
「晩ご飯何が食べたい?」
「うーん、何が食べたいかなー」
「晩ご飯、どうする?」
「うーん、どうしようか」
このように、主担当が悩んでいたらまずは受け止めて一緒に悩み、共に問題の解決をはかろうとします。
なぜならそれは、ふたりの問題、ひいては家庭全体の一大事だからです。
おおげさではありません。「たかが食事のメニュー」と軽視していると確実に痛い目にあいます。実にそういうところから、夫婦の絆はほころぶのです。
相手の「大変さ」についても一緒に悩む
「最近仕事が忙しくて、しんどいんだよね......」
「最近、子どもが夜なかなか寝てくれなくて困る」
メニューの相談以外にも、こんな相手の嘆きに対して、「イヤなら転職でもすれば?」 「昼間にもっと運動させれば夜は疲れて寝るんじゃないの?」などと答えてしまうのも夫婦の間ではよくあること。 この場合も、相手が感じている大変さに対してどこか他人事なのです。だからすぐに答えが出てしまう。
ここでも相手の状況を共有して、まずは一緒に悩むのが得策です。
「その大変な状況をなんとかするためによい方法を一緒に考えよう」というスタンスで接するのが、どんな場合にも正解となります。
「なんでもいい」は他人事にしている証拠
Text:Tatsunari Iota
ドクト
「読むだけで夫婦仲が改善できる」必読書はこちら『不機嫌な妻 無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方』/五百田達成
「夫婦には会話が必要」「ケンカするほど仲がいい」とはよく言われます。
でも、なかなかうまくいかない。
面倒だったり、ギスギスしたり、イラっときたり、相手の機嫌を伺うばかりで肝心なことが言えなかったり、つい嫌味を言ってしまって後悔したりする。そんなこと、ありませんか?
結局のところ、夫婦がうまくいくとは、夫婦のコミュニケーションがうまくいくということ。そして、コミュニケーションさえうまくいけば、二人の関係はうまくいきます。
五百田達成(いおた たつなり)
作家・心理カウンセラー。 米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。 専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。サラリーマンとしての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。
「あさイチ」(NHK)、「スッキリ」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。 著書『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』『超雑談力』『不機嫌な妻 無関心な夫』『部下 後輩 年下との話し方』(以上、ディスカヴァー)はシリーズ100万部を超えている。オンラインサロン「おとなの寺子屋〜文章教室〜」も好評。