性能がよく耐久性がいいことから、信頼性の高い日本車は、世界的にみても人気があります。もちろん、国や地域によって道路事情、ライフスタイル、好みが異なりますので、同じ日本車でも、国によって売れているクルマはちょっとずつ違ってきます。欧州、米国、中国などの海外の主要市場で、どういった日本車が人気なのか、2021年のデータを元にご紹介しましょう。
■欧州ではヤリスが一番人気
石畳でできたデコボコ道や、道幅が狭い市街地の道(しかも路上駐車が当たり前)といった道路環境が特徴的な欧州。高速道路の利用も日常的で、かつ、欧州では日本の高速道路よりもアベレージスピードが高く、最高速度を130km/hとしている国が多くあります。そのため市街地での取り回しの良さに加えて、高速道路や郊外のワインディグでのしっかりしたハンドリング性能も求められます。
そんな欧州で、もっとも人気がある日本車は「トヨタヤリス」。日本でも普通乗用車のなかで一番人気のモデルですが、日本で販売されている仕様とはちょっとだけ異なるヤリスが販売されています(全幅を広げてリアビーム型サスのトレッドを拡幅)。小回り性能がよく、スポーティなスタイリングと信頼性を併せもち、ハイブリッドモデルもある、という経済性の高さが注目されているようです。
他にも、トヨタのカローラやC-HR、日産のキャシュカイやジューク、スズキのスイフトなどが欧州で売れている日本車です。日産のキャシュカイとジュークは日本未導入のモデルですが、なかなかカッコいいデザインであることから、日本でも出したら売れそうな気がします。
■米国ではRAV4
広大な国土が広がる米国に住むひとたちにとって、クルマはもはや生活必需品。道路もよく整備され、広い一軒家に何台も駐車スペースがあるというイメージがありますね。
米国では自宅や家具の修理をDIYでおこなったり、ガレージセール(住居の庭先で不用品を販売する不定期イベント)を頻繁に行う、という習慣があるため、荷物を運ぶためのピックアップトラックがよく売れています。しかも、フォードFシリーズやダッヂラム、シボレーシルバラードといった、全長5mを超すようなフルサイズピックアップが大人気、米国市場で長年売れ続けています。
しかし最近では、普段の生活の足としてや、レジャーで使われるのは、SUVモデルが多いようです。セダンもよく売れており、「米国市場でセダンが売れてくれるから(セダンは)消滅しない」といわれるほど、根強い人気があります。
こうした特徴をもつ米国市場で、一番売れている日本車は「トヨタ RAV4」です。しかも、フルサイズピックアップトラックに次ぐ人気ぶりで、SUV以外のカテゴリも含め、「最も人気のあるクルマ」ということになります。力強いスタイリングと実用性の高さ、そしてハイブリッドも選べて経済的というのもポイントです。
RAV4の次に売れているのが「ホンダ CR-V」です。日本では、ボディサイズがやや大きくて扱いにくいことや、価格が高いなどの理由で、イマイチ存在感を出せていないCR-Vですが、米国では「丁度よいサイズ感のSUV」として、大人気となっています。セダン部門では「トヨタ カムリ」が人気です。