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FASHION 百“靴”争鳴

【レーデルオガワのコードバン】 工場の新設とオリジナルブランドは三郎の夢だった。Vol.3

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跡取りだからって調子に乗ってんじゃねぇぞ

ぼくは現場に入って徹底して ものづくりを学びました。そのころはまだ三郎の薫陶を受けた職人が何人もいた。ぎりぎりで継承することができたんです。このことには大いに感謝しています。

20代は職人として過ごしたといってもいいくらいでした。苦労の甲斐あって いまならすべてのプロセスを自分ひとりで賄うことも可能です。

ひととおりのことが こなせるようになってくると、もっとよくできるんじゃないか、という思いが芽生えてきました。ぼくは脂入れのプロセスにメスを入れることにしました。

そのころのコードバンはグレージング(艶出し)をすると曇りがちでした。ぼくは原因を探りました。おそらく柔らかすぎるからだろうと踏んだ。ではなぜ柔らかいのか。きっと脂を入れすぎているからに違いない。そのように仮説を立てたぼくは大胆に脂を減らしてそのプロセスに挑みました。

60枚のコードバンが すべてパアになりました。

職人にはボロクソにいわれました。跡取りだからって調子に乗ってんじゃねぇぞって。

パアにしたのは事実だから、ぼくは素直に謝りました。ごめんなさいって。でもまったく怯んでいませんでした。謝った次の日にもう一度トライしました。

見事、成功しました。

失敗するということは限界がわかるということです。そこから逆算すれば、正解は導き出せる。振り切ることで正しいポジションがわかるんです。

ぼくは職人の勘や経験に頼っていた部分を徹底して管理するようになりました。反発もありましたが、結果を出すことで現場を巻きこんでいきました。最後の仕上げが、(連載第2回で紹介した)乾燥室。これにより、三郎が培ったものづくりはそのままに、品質のムラを均すことができるようになりました。

経営陣の人間がいっても説得力はないかも知れませんが(笑)、いまは社内もいいムードです。



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