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FASHION 百“靴”争鳴

すべていちから確立した、圧巻のコードバン染色技法。Vol.2

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三郎謹製のマシンで倍以上の時間をかける

削り終えたコードバンは いよいよ磨きのプロセス、グレージングに進みます。

コードバン層は きわめて密な繊維が林立しています。これをローラーで寝かせてやるのがグレージング。世界共通のプロセスであり、メソッドですが、費やす時間が違います。

われわれがグレージングにかける時間は7〜8分。よそは2〜3分といったところです。つまり、倍以上の時間をかけている計算になります。光るか否かは どれだけ繊維を寝かせることができるかにかかっています。とことん寝かせようと思えば、どうしてもそれくらいは かかってしまう。

ただ時間をかければいいってものではありません。最後の最後までムラなく寝かせる技量。この習得には途方もない時間が求められます。

仕上がりを見極める目も育てなければなりません。光をあてて、その反射の具合で確認します。素人がみても ちっともわからないでしょう。

ローラーの材料はガラスが多いんですが、耐熱温度が低く、割れやすい。われわれは三郎の時代からメノウを使っています。念のためにストックもひとつ用意していますが、すでに半世紀近く使っている初代が いまなお現役です。

なにかあったら困るのがマシン本体です。鋳物だから、割れたら終わりです。もとはクロコダイルに使うマシン。三郎がカスタムしました。

生産が追いつかないこともあり、もう1台つくったことがあります。浅草に2人しかいないといわれる熟練工に頼んだにもかかわらず、三郎のカスタムは再現できませんでした。使い慣れているマシンと そうでないマシンの差ではありません。あらたにつくったマシンは明らかに性能が劣りました。いまでは埃をかぶっています。

マシンといえばセッティングマシンもつくってはみたものの 使いものになりませんでした。果たせるかな、三郎がカスタムしていたからです。



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