【後編】「夫の不倫」それがわかったのは、最愛の夫が死んだ日だった……

末期の膵臓癌の夫。その病室を訪れた男友達２人。

妻である由美（仮名）が寸前に窓から見かけた、彼らと一緒だったもう一人の女性。なぜあの女性は病室に来ないのだろう……。由美はかすかな疑問を抱いていた。

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「大野君たちとの面会は30分程度で終わりました。すでに意識がもうろうとしている夫も、二人のお見舞いにとても喜んでいる様子。友人たちと会うのもこれが最後なのかな……と思うと、涙が出ました。そしてその３時間後。彼の意識が混濁し始め、まもなく夫は天国に旅立ちました」
 

©Getty Images

夫の亡骸とともに帰宅し、遺体を前に一人ぼーっとしていた由美。そのとき、夫の携帯電話が震え始めた。一度ばかりではなく、何度も、定期的に。

「こんな時にいったい何だろう？ こんなに何度も、まだ亡くなったことを知らない誰かからかしら」と思い夫の携帯を見ると、女性からのメッセージが。

『会いたい。あなたに会いたい、そしてあの時みたいに激しく愛し合いたい』

そんな一文が由美の目に飛び込んできた。