アプリで相手の男性に会うのは、土曜のランチタイムと決めている。娘はこの日、朝から夕方まで習い事をしており、夫が迎えに行くのだという。有希さんは好みの男性とは一線を越えることもあるという。
「実際に、しちゃったことは何度かありますよ。私、相手がハイスペックであるほどしたくなるんですよね。あと、大事に扱ってもらわないと嫌なんです。ラブホテルに行こうとする人はお断り。きちんとしたホテルで日常を忘れながら楽しみたいんです」
相手が好きだからではなく、自己承認欲求を満たすために行為を重ねていく。
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「ママ友とかにも自慢したいんですが、デキないのが悩みなんです。この間なんて、東大卒の経営者のイケメン男子(35歳)としちゃったんですよ。でも、アレがすごく下手なんです。見た目はカッコいいのに、ここで損をしているんだと思いました。他にもモデルやインフルエンサーなど、たくさんの種類の男性に会いました。そんな人たちが私を“かわいい”と言ってくれるだけで、気持ちが満たされるんです」
有希さんは、ちやほやされたいのだ。
「特に、それなりのスペックの男性から思われたいです。誰でもいいわけじゃないんですよ。ザコ(雑魚)からモテても意味がなくて、なるべくなら、他の女子たちが狙っている男がいいですね」
結婚する前に勤務している会社では、“職場の華”と呼ばれていた。オジサンたちから可愛がられ、独身男性からはデートにも誘われた。
「そのためにダイエットしたり、キレイになるために自己投資していた。それなのに、結婚できたのは今の夫。今の生活に不満はないけど、私ならもっとカッコよくて、スポーツができて、面白くて楽しい男性と結婚できたのに......と後悔することもあります」
モテることで、自分の存在意義を満たしていく。夫のことは家族として大切に思っているが、いまさら夫にモテても意味がないと笑う。
「もし私のことをフッたあの先輩と付き合えていたら、違う人生だったかもしれませんね」
そんな有希さんだが、最近は、他の人とするたびに虚しさが募ることもあるという。
有希さんは、いつになったら「かわいい」を卒業して、「しあわせ」にシフトチェンジできるのだろうか。
Text:Aya Sawaki