振り向くと、そこにいたのはたるんだお腹を揺らして、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら近づいてくる男性の姿が。
そう、すっかりおじさん化した浩司が近づいてきた。由里子の妄想の中では西島秀俊のようなイケオジになっているはず……だった。
「やっぱり由里子だ。綺麗に老けたなぁ」
褒められたのか? それとも貶されたのか? 思い描いた再会のシーンのセリフではないことは確かだ。
「あなたもすっかり変わってしまったわね」と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
さらに小さな毛玉だらけのセーター、センタープレスが曖昧になったパンツ、くたびれた靴が目に入った。浩司は昔も服に気を使うタイプではなかったが中年になってこれはない。歳を取ると生まれ持った顔の造形よりも清潔感が何より大事であることを体現していた。
けれども自信ありげな表情と髪型は変わっていない。
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