——そして月日が経ち、気がつけば由依は完全に飯田に依存するようになっていた。
スマホに「今日家きて」とメッセージが来れば飯田の家へと向かい、土日にも「映画見よっか」などと誘われることもある中で、由依は次第に「自分は恋人なんだろうな」と思っていた。
断りたい時にも、飯田は「由依ちゃん、空気読めないんだから」と言うものだから、そんなものなのかもと流され続けてきたのだった。
そんなある日のこと。由依は珍しく女性社員のひとりから「ちょっと来て」と呼び出された。
使用されていない静かな会議室に座ると、女性社員がため息をつきながら重い口を開く。
「前々から全く空気読めないとは思ってたけど……もしかして、まだ気がついてない?」
「え、なんのことですか?」
「あのね、飯田課長のこと。まさか周囲に気がつかれずに自分は付き合ってるとでも思ってた?」
©Getty Images
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