「まさか、奢られるだけで帰るつもり? 空気読めないからって言ってたけど、ここでは空気読めるよね?」
その真剣な澤田の表情を見て、由依はさすがに理解した……。
抵抗があるかと言われたら、ちょっとある、けれど……こんなに話を聞いてくれたし、課長は指輪もしてないし。何よりちょっと、かっこいいし。
流されるままに由依は、飯田の一人暮らしのマンションへと共にタクシーで向かった。
倒れ込むように潜ったベッドの中で、由依は最後まで自分の名前を呼ばれなかったことに違和感を覚えることもなかった。
©Getty Images
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