心から愛せる人に巡り合えるのは、とても奇跡的で幸せなこと。だが、その奇跡に縛られてしまう人もいる。そんな男性を好きになってしまった美耶の話をしよう。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
IT系企業に勤める独身の美耶(仮名・35歳)。そろそろ本命の彼氏が欲しいと考えていたとき、友人の知子に連れられてワイン会に参加した。
最近人気のオレンジワインの会だが、コロナ禍ということもあり参加しているのは10人。隣の席になったのは、彼女である早紀(仮名・29歳)と参加していた雅樹(仮名・33歳)だ。
ラテン系の血が入っているのかと思わせるほど、雅樹の顔はホリが深くワイルドそのもの。だがどこか爽やかさもあり、サッカーのスーパースター、クリスチアーノ・ロナウドのような雰囲気を持っていた。
「わ、何この人……。日本人? イケメン。ちょっとラッキー」
最初はその日本人離れしたイケメンの風貌に驚いたものの、会が進むに連れワインの酔いもまわり、雅樹と大人しい早紀、そして知子と美耶は意気投合。ヘロヘロになるまで酔っ払って会を楽しんだ。最後には「またこの4人で飲みましょう」とグループラインを作った。
その後はグループラインで、「ジョージアのオレンジワインならこれが美味しい」などと情報交換をし合うように。大人になってから新しい友人ができたことを美耶はとても嬉しく感じていた。
しかし、ワイン会から2ヵ月ほど経った頃、雅樹と早紀からの連絡が途絶え、しばらくすると雅樹から個人ラインが来た。
聞けば、あまりに激しい早紀の性格にずっと耐えていたものの、もう限界だと感じて別れたのだという。あの大人しそうな早紀が? 美耶には想像もつかなかった。
「なるほど、だから連絡なかったんだね。せっかく二人と仲良くなれたのに残念」
「そうだね、もう4人では会えないかな……。でも美耶さんとワイン飲みに行きたいな。この間オレンジワインが豊富ないい店見つけたんだけど、一緒に行かない?」
「え? 本当? それはいいね。行く行く!」
それから雅樹と美耶は何度かワインデートを重ねて男女の関係になった。
そのたくましい体と惚れ惚れするようなワイルドな顔立ちに、美耶はすっかり酔っていた。この人と私釣り合っているのかな、などと思いながら。
しかし、美耶は突然奈落の底に突き落とされる。
ある日の早朝……。突然、激しくドアを叩く音と女の叫び声が。
「開けなさいよ! 女といるのわかってるんだからね! 卑怯者!」
玄関の鍵をガチャガチャと開け、キーチェーンがしてあったドアの隙間から聞こえてきたのは、早紀の声だった。
Text:女の事件簿調査チーム