シェフの意見に耳を傾け、研究してつくりあげたKeicondoのうつわ
Keicondoさんの黄色いうつわ
ひさこ先生:Keiさんのうつわといえば、黄色が特徴的ですが。
Keicondo:これが絶対、僕のカラーというほどの執着はありません。「この色いいじゃん」って思っただけなんです。釉薬の勉強もしてきたので、原料についてはいろいろ試しましたが、この色ができたときにしっくりきた。ただ、周囲に「この色よくない?」って聞いても、ピンとこない方が多かったし、真っ向から否定されたこともありました。
ひさこ先生:黄色ということは、微量な鉄分を含ませた釉薬を使っているんですよね?
Keicondo:そうです。ボリビアを表現したいなんて思ったことはないんですが、見渡す限り黄土だったあの世界に衝撃を受けてインスピレーションになってるのは否定できません。なんと言っても、あの2年間は人生の中で最も濃かったから。
FORZA:ひとくちに黄色といっても、濃淡など結構違いがありますが。
Keicondo:ただの好みです。いま、この色が気分。色の出方については偶発が多くて、窯の失敗、釉薬の配合や土の失敗など、ちょっとしたことで色は変わってしまうので、逆にそれが新しい発見となったりして変わっていってます。いろいろ試して、手探りで見つけてきました。
FORZA:Keiさんは、どんな窯を使っているんですか?
Keicondo:電気窯です。元々家に壊れた電気窯がありまして、もったいないから使いたくて、修理して使い続けています。
FORZA:ひさこ先生、電気窯の特徴って?
ひさこ先生:電気窯は炎ではなく、電熱線の輻射熱で焼成します。火を使わないので安全ですし、静かで、煙も臭いもありません。窯焚きに数日かかる薪窯に比べると手間はかかりませんが、他の窯と比べると若干コストがかかってしまいます。
Keicondo:僕のうつわって一見ラフそうに見えるんですが、意外と計算しないといけない。温度帯も数十分狂うと色が変わってしまうから、コントロールしやすい電気窯が向いています。
Keicondo:それから体力的な問題もあります。僕のうつわ作りのピークは、窯入れのとき。そこまでに全力を注いで、スイッチ入れて終了が理想なんです。
もちろん、薪窯を手伝ったことがあるから「焼いてる時間が楽しい」という考えも理解できますが、僕は形成することが楽しいので、そちらに心血を注ぎたい。自分がやりたいことを一生懸命やっていないと意味がないですから。