そのときに、真希絵さんは初めての不倫をする。「若く美しい私が、終わった男と結婚している」という不満のガス抜きが不倫だった。生活は安定していても、心はいつも揺らいでいた。
「最初の不倫は、地元の高校の同級生で、同期の中でも出世頭の男性でした。顔もいいけれど、性格がちょっと暗くて、正直微妙だと思ったんですが、超大手のグローバル企業に勤務しており、スイスに赴任すると聞いて、最後の思い出作り的に関係を持ったんです。この男性のことはかなり好きになってしまい、コロナ禍だったこともあり、ずいぶん家に遊びに行きました。『スイスについてきてほしい』などと言われ、好きではなくなってしまったんです。今はどうしているか知りませんが、風の噂では現地の日本人と結婚したみたい」
なぜ、この男性に目をつけたかというと、同級生のその他の女性が狙っていたから。
「みんなが“いい”と思う男性と関係を持つことが好きなんです。恋愛は勝ち負けではないけれど、“勝った!”って思えるんですよね」
手間をかけて美しさを維持し、その他の女性が狙う獲物(男性)を美味しくいただく。不倫は1回ハードルを越えてしまうと癖になる。「不倫はダメ、絶対」という禁忌は、異性にアピールができれば、簡単に破ることができる。
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「そこからは、雪崩のようでしたね。バイト先で知り合った27歳の男性、ヨガで知り合った29歳のエリートビジネスパーソンなどと関係を持ちました。いずれも独身で、私に夢中になったあたりで、別れるんです。相手も他に女性がいますから、あっさりとバイバイって感じですよ」
身元が不確かな人とは絶対に不倫をしない。
「だって裸になるわけでしょ。何をされるかわからないし怖い。あと、アプリにいる男性って、自力で相手を見つけられない人ってことじゃないですか。私は正直モテると思うし、モテる男性としか関係を持ちません。彼らはアプリをやっていないんですよね」
そして、息子(8歳)のサッカーで知り合った冒頭のパパ友(36歳)と関係を持つ。
「これはその他の不倫と同時進行で攻略していったんです。きっかけはコロナ禍でサッカーが中止になり、保護者と子供を交えたZoom食事会です。そのパパのことは“カッコいいな”くらいに思っており、Zoomの時に、そのパパだけ大きな画面にしていたんです。すると、背景がヤバいくらいの夜景のタワマンで、壁に設置するテレビとか、無垢材の壁とかがめっちゃまぶしい。“金がかかったおしゃれな家”だったんですよね」
真希絵さんは、モテのテクニックを駆使してそのパパ友に近づく。
「モテる人の気を引くためには、簡潔なLINE、笑顔控え目、目を見て話せばOKなんです。彼らは女性から媚びられることに慣れている。塩味強めの対応をすれば、たいてい陥落します。それでも、1年半くらいかけましたけれどね」
ゆっくりと時間をかけ、とうとうそのパパ友から飲みに誘われて関係を持つ。
「待望の“2人きり”ですよ。彼は私のことを抱きしめながら、『あ、骨がわかるくらい細いんだ』と感激してくれて、ぎゅっとしてくれたんです。そして『ホントにスリムなんだね』などと体型を確認しつつ、そのたびに相手はすごい状態になっていく。心の中で“あんたの奥さん、デブだもんね”と嘲笑っていました」
Text:Aya Sawaki