千香子さんは、サクッとデートして、女としてチヤホヤしてくれて恋愛気分を味わえる真面目な男性と出会いたかったのだ。
「想定していたのは、そこそこ有名企業の会社員で、女性に免疫がなくて、私のことをお姫様のように大切にしてくれる人。アプリって、まさにそういう男性と出会えるんですよ。デートしてホテルに行って『付き合おう』と言われたこともありましたが、1回した後にこちらからブロックしていました。継続的に会ってしまうと情がうつるし、夫にバレるのも怖くて、用心していたんです」
しかし、3人目に会った地方公務員を自称する35歳の独身男性は、千香子さんのことを本気で好きになってしまった。プロフィール写真がなかなかのイケメンだったから会ったのだが、発言の端々に危険な香りを感じたという。
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「初デートにチェーン店の居酒屋を指定してきて、『ここの天つゆは砂糖ではなくてザラメを使用している』などとうんちくを垂れるんです。一緒にいたのは1時間もないと思います。それなのに、『運命を感じた』などと言って、手をとってキスしてくる。これはヤバいタイプだと思って、早々に切り上げて、帰宅したんです」
顔はいいし、細マッチョだし、それなりに好みだった。
「だから、してもいいかなと思っていたので、最初はそれなりにおだてていたんですが、別れるときは、めっちゃ塩対応していたと思います。いつもは男におごってもらうのに、この日はワリカンにして、顔も見ずに『さようなら』と別れたんですよね」
千香子さんは、アプリの男と会うのは、土曜日と決めていた。
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「幼稚園の土曜保育に預けて、都心に出て、男と待ち合わせしてランチをしてホテルに行く。息子は14時過ぎに夫が迎えに行き、その後、児童館や公園などに行く。そこに夕方私が合流し、一緒に帰るというパターンでした」
夫には女友達と遊びに行くと嘘をついていた。
「あまりにも男がキモかったので、その日はすぐに地元に帰り、幼稚園に迎えに行ったんです。夫もたまたま来ていて、3人で近くのスーパーで買い物をして、帰宅したんです」
その様子を全て男は尾行していた。