ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION 百“靴”争鳴

【ハロゲイトの木型職人、松田哲弥の哲学】靴の良し悪しを決めるのは、木型が5割! Vol.3

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

集大成の木型が完成した

秋には何年もかけて削ってきた木型が完成します。外羽根のプレーントウのために削った木型がそれ。自分が考える究極のミニマルであり、時代性も意識しています。

見どころはトウから伸びるインライン。これまでの木型はこのラインが途中で切れていました。何千と削って、ようやくつながりました。

時代感を踏まえて取り組んだのが18㎜の捨て寸。捨て寸は20㎜がセオリーです。たった2㎜と思うかも知れませんが、木型職人にしてみれば途方もなく大きい。木型の設計思想を損なわない ぎりぎりのところであり、つま先を詰めるのにあわせて すべてを一から積み上げなければなりませんでした。木型の段階では微差にみえても、履けばその差は歴然としています。靴博でお披露目する予定なので、ぜひ試してみてください。

木型の世界に入って20年。この木型は自分なりのひとつの到達点になると思います。

自分が死んだあと、何十年か先の業界人が自分の木型をまえにして「こいつは一体全体どうなっているんだ」って頭をひねってくれたら、こんなうれしいことはありませんね。

なんだかいまにも引退しそうな発言ですが(笑)、やりたいことは まだまだいっぱいあります。今回の仕事で工場の限界がわかった。わかった以上、手製靴をつくってみたいという思いも生まれましたしね。

最終回へ、つづく

松田哲弥(まつだ てつや)
1979年神奈川生まれ。高校卒業後、地元東京シューズの横浜ルーインズのアルバイトを経てエスペランサ靴学院入学。半年足らずで中退し、アルバイト先だった神戸レザークロスに2002年に入社。木型部門に配属される。2005年、木型職人として独立。2020年、仲間とともにハロゲイトをローンチ。

【問い合わせ】
HARROGATE
https://harrogate.jp
 

Photo:Simpei Suzuki
Text:Kei Takegawa
Edit:Ryutaro Yanaka



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5