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速さだけじゃない!A90スープラにマニュアルミッションは本当に必要なのか

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2002年のA80スープラ生産終了から17年、BMWとの共同開発により、2019年5月に復活した(通称)A90スープラ。これまでA90スープラは、オートマチックトランスミッション(AT)車のみの設定であったが、登場から3年経った今年の春、マニュアルトランスミッション(MT)車の登場が噂されている。

近年は、ATの性能の凄まじい進化により、AT車の方が加速レスポンスや燃費など、優れることは明白なのだが、A90スープラにマニュアルミッションは本当に必要なのだろうか。

 

■変速レスポンス、レシオカバレッジは、AT車のほうが圧勝

「A90にマニュアルは必要なのか」を考える上で、現状、A90に搭載されているトランスミッションについて振り返っておこう。

A90スープラには、直列4気筒2.0Lガソリンターボ(出力別の2グレード)と、直列6気筒3.0Lガソリンターボが用意されており、トランスミッションは共通でZF製の8段ATが組み合わせられる。ZFと言えば、BMW、ロールスロイス、アストンマーティンなど、高級車ブランドのクルマにも多く搭載されている超高性能なトランスミッションだ。その特徴は、DCTと同等以上の変速レスポンスと、幅広いレシオカバレッジを実現するという。

2019年5月に登場した、現行A90スープラ 

トヨタ系の上級車では、レクサス LS に搭載されるAT(10段変速)よりも2段も変速段数は少ないのだが、レシオカバレッジは同等 (スープラ:8.203、LS:8.232)。さらに、変速段数を8段に抑えたため、LSのATに対して重量も抑えている。ハンドリングや加速性能が求められるスポーツカーには適したトランスミッションなのだ。

ATによるメリットは他にもある。レーダークルーズコントロールといった先進運転支援は、クラッチ操作が必要なMTでは、前走車に追従したまま完全停止する機能が装着できない(30km/h以下になるとクルーズコントロールが切れるなどしてエンストを防ぐようになっている)。ゆえに、完全停止まで対応するレーダークルーズコントロールには、ATが必須となる。また、昨今増えてきたパーキングアシストも、ATでないと実現は出来ない。

A90スープラの8速AT

歩行者などの衝突を回避する自動ブレーキは、ブレーキを掛けて停止させるのみで、変速操作を伴わないため、MT車にも搭載は可能だが、変速レスポンス、燃費(レシオカバレッジ)、先進支援技術といった最新ATのメリットを断念してまで、A90スープラへMTを用意する意味があるのか、と疑問に思う方もいるだろう。

 

■それでもスープラにはMTが絶対に必要

だが筆者は、以下のような理由から、スープラにはMTが絶対に必要だと考える。

趣味性が強いスポーツカーには、MT操作によるドライビングプレジャーも必要。マツダ ロードスターやスズキ スイフトスポーツといった小型スポーツカーから、フェアレディZといった大きめのスポーツカーまで、ボディサイズは変わろうとも、MTでクルマのスピードを操る楽しみは格別だ。MT操作なくしてスポーツドライビングとはいえないと考える。

MT操作なくしてスポーツドライビングとはいえない

また、ライバルのフェアレディZの存在も大きい。歴代全モデルでMT車を用意してきたフェアレディZ。新型でも6速MTが用意されるそうだ。スープラも、A80までの歴代モデルにはMTが用意されてきたが、A90ではATのみとなってしまった。新型フェアレディが日本で初披露された東京オートサロン2022で、日産ブースを訪問したトヨタの豊田社長は、「日産には負けませんから。」と発言していたが、今回のA90スープラのMT搭載は、やはりフェアレディZを意識してのことだったのだろう。

新型フェアレディZの6速MT(写真は米国仕様)

そして、直6エンジンのフィーリングをもっと堪能するためにもMTが必要だ。スープラの心臓部に眠るのは、BMW製のシルキーシックス。直列6気筒エンジンが持つ「完全バランスによる低振動」の特性は、エンジンを回していった先で、非常に心地よい振動とサウンドが身体へ伝わってくる。このエンジンフィールを最大限堪能するには、やはり、クルマの挙動が細かく感じ取れる、MTがベストだ。

 

■今後の展開にも期待!!

2019年にA90スープラが登場する話を聞いたとき、てっきりMTも用意するものだと思っていた方は多かっただろう。トヨタは、スープラにスポーツカーとしての走行性能と同時に、先進運転支援などを搭載しなければ売れない(生き残れない)と判断したのだろうが、ATのみだと知ったファンからは「スープラは終わった」という声もあがっていた。

こうなると、よりスポーツ方向へ振り切ったモデルの登場も期待してしまう。やはりお互いを高めあうライバルの存在は大きい。スープラとフェアレディZで日本のスポーツカーをけん引し、今後もスポーツカーファンを楽しませてほしい。

Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:TOYOTA、NISSAN
Edit:Ogiyama Takashi



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