2021年の第38回ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた「ヤングケアラー」。
一見、無機質なカタカナ言葉ですが、これにはある社会問題が含まれているのです。
ヤングケアラー、どんな意味かみなさんはご存じですか?
「家族の世話」「家事をする」で片づけてはいけない!
厚生労働省のヤングケアラー公式ホームページによると、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているような子ども」という意味だそうです。
ここで勘違いしたくないのが、ヤングケアラーの問題は「単に兄弟の面倒を見る」や「家事を手伝う」という次元ではないということです。
家事を一手に引き受ける、障がいを抱える家族の介護、家計を助けるための過度なアルバイトなど、年齢などに見合わない責任を負っている子どもたちがいるのが現状です。
なぜヤングケアラーが生まれるのか?
家庭それぞれの背景があるものの、多くの原因として挙げられるのが、介護を担う人材の不足・経済的な苦境です。
介護が必要な家族がいるが、金銭的に余裕がなく施設に入所させることができない。親は働くため、子どもたちは介護の当事者になる……といった悪循環が起きているのです。
また、日本は「家族の介護は家族で行うべきだ」という考えが強く残っていることもあり、助けを求めることができない状況に陥ってしまっているのです。
ヤングケアラーを取り巻く問題は?
①学業への影響
遅刻や早退、欠席が増える、ケアに時間を取られて十分な勉強時間を確保できないなど、学生の本分を奪われてしまう
②就職への影響
自分の可能性を広げる時間をケアに割いてきてしまったことで、自分をアピールできることがない
③友人関係への影響
遅刻や早退、欠席などにより、友人とコミュニケーションを取る時間を十分にとることができない
最後に
「妹弟たちの面倒を見なさい!」「家事を手伝いなさい!」など、親であれば一度は言ったことのある小言。自立を促すための言葉であるものの、実際にこのような問題を目にしたときに考えさせられるものがあります。
「勉強しなさい!」の方がまだ理にかなっている気もしますが、子どもからすればどちらも耳をふさぎたくなるような言葉です(笑)。
子どもの本分である「よく遊ぶ・よく学ぶ・よく寝る」を優先させてあげること、もしヤングケアラーを見かけたら手を差し伸べること。
なにより、ヤングケアラーという問題を知っておく・広めるということが解決において最も重要かもしれませんね。
Text : FORZA STYLE