猫も杓子もSUVなご時世ですが、80~90年代にもその兆候はありました。トヨタハイラックスを中心とした、クロカンブームがそれです。道なき道を進む、というよりも、街乗りやサーフィン、スキーといったアクティビティの供に、という使われ方が主流で、当時の若者にウケたのです。
今回おじゃました埼玉県入間郡にある国産旧車のスペシャルショップ「マルミオート」には、そんな懐かしのクロカン達が数多く販売されています。
まず注目したのは1992年式のテラノです。3リッターV6を5MTで操る4ドア仕様。走行距離は、ナント2万7000km! スイッチ類やカーペットに使用の痕跡を感じさせないほどに、ビカな一台でした。お値段289万円。
もう一台のテラノは、同じ年式で、同じエンジンを積むもののオートマ仕様。走行距離は3万9000kmと、先ほどのものよりは走っていますが、30年前の車両と考えるとこちらも驚きです。少しお安めの249万円。
昨今流行りの流線形SUVとは一線を画すカクカクとしたボディに惹かれる人は少なくないでしょう。ちなみに、初代テラノの日本国内での販売は1986年から1995年まで。二代目は丸みを帯びたデザインになり、さらに現在もロシアで販売されている三代目は、なんとも未来的なデザインとなっています。
■クロカンの祖「パジェロ」
かつてのSUVはクロカンヨンクと呼ばれ、現代のSUVよりもかなりヘビーデューティな乗り物で、街乗りするには少々重厚すぎるものでした。ジープやランクルがその代表ですが、それを街使いできるよう印象づけたのがパジェロといえましょう。マルミオートにも複数台のパジェロがありました。
こちらは1989年式と1990年式のL146で、希少だという「スーパーJXワイド」の5速MT仕様。三列シートの7人乗りで、13万kmほど走っていますが、パジェロにとってはまだまだこれから美味しく楽しめるでしょう。二台ともに199万円だそうで、今時こんなにゴツいの新車では売ってません。
ほかにも、1989年式のL141の「スーパーXL」の3ドアは、フルノーマルでワンオーナー、という奇跡のような一台。お値段は、249万円だそうです。