■ゴルフの「×」価格の高さに見合わない「質感の低さ」
先代から大きく値上がりしたゴルフ8。マイルドハイブリッドシステムの搭載など、やむを得ないアイテムもあるが、大画面のフル液晶メーターをはじめとするインフォテイメントモニター採用や、スイッチ類のタッチパネル化、先進運転支援系の強化などの「デジタル化」が大きく影響していると思われる。
なかでも、フル液晶メーターや、インパネ最上段に来ている10インチタッチスクリーンは、全グレードで標準装備。目の前にあるメーター内にナビを表示させたり、インパネ最上段のインフォテイメントモニターでスマホとリンクさせた音楽を聴いたり、動画が視聴できるのは非常に便利。しかし、なんでもかんでもタッチパネル化されてしまったのは、非常に残念。
エアコン温度調節や、ボリューム調節、メニュー選択などの操作は、ほとんどがタッチパネル化されている(ボリューム調節はステアリングホイール上にもスイッチはあるが)。VWの日本市場担当者は、「直感的に操作ができるようになった」としているが、これが本当に「直感的」な形式とは、筆者は思えない。
ナビの下部分のタッチスライダー(2本の指で触ってスワイプする操作など)、は、慣れればできるのかもしれないが、筆者は試乗した際、最後まで使いこなすことができなかった。運転中の揺れる車内で、この手のタッチパネルへ正確に触り、正確に操作するなんてことは到底できないんじゃないだろうか。
また、先代のゴルフ7までは、インパネやシフトノブ周り、ドアの内張り、物理スイッチなどへの加飾などによって、「価格に合わない質感の高さ(豪華さ)」があり、それがゴルフの魅力のひとつでもあったが、多くの指摘があるとおり、今回のゴルフ8ではそれらが感じられず、インテリア全体の質感に関しては、「退化」してしまっている。シンプルといえなくもないが、無駄がなさすぎて寂しい。先代最終モデルのインテリアの方が、断然勝っていた、と思える。
写真上は先代のゴルフ7、同下がゴルフ8のインパネ。ゴルフ8のインテリアは、スイッチ類が減り、トリムにあった加飾もなくなるなど、相当シンプルになった。(Yahoo!ニュースでご覧の方は画像ギャラリーからご確認を)
■まとめ
先代のゴルフ7の最終モデル「マイスター」は、走りやインテリアの質感など、非常にいい出来であった。それだけに、ゴルフ8には期待していた方も多かったはずだ。今後、年次改良やビッグマイナーチェンジのタイミングでぜひ刷新し、ゴルフの底力を見せてほしい。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:VolksWagen Japan