人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
傷とともに刻まれた思い出があるため手放せません
かつて編集者として出版社に勤めた経験があり、現在はファッション誌や広告、そして国民的アイドルからミュージシャン、政治家のスタイリングに至るまであらゆるシーンで活躍するスタイリスト櫻井賢之さん。
幅広い知識に基づき、クラシックからモード、ストリートに至るまで幅広いジャンルに精通する櫻井さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第5回目は、グローブ・トロッター(GLOBE-TROTTER)のトロリーケースです。
「このトロリーケースは、2006年に英国空軍(RAF)の戦闘機スピットファイアの70周年を記念した特別コレクションとして70個限定で発売された「スピットファイア」です。
世界一美しいと言われている迷彩柄がプリントされています。
スタイリストになったばかりの頃で、仕事道具を入れて運ぶのに重宝しそうだと思って購入して、結構使っていたので、結構傷も見られますね。
他にも使えそうなバッグがリリースされたり、容量の問題などもあって、だんだん使う機会も減り、最近はまったく使っていないんですが、周年記念の限定モデルですし、スタイリストになりたての頃の思い出も刻まれているので、これも手放すことができません。
他にも使い勝手の良いトロリーケースが数多く見かけますが、グローブ・トロッターは特殊紙を何層にも重ねてコーティングした素材ヴァルカン・ファイバーを使って、職人がひとつひとつ丁寧に作っているため軽くて堅牢ですし、原料が木材パルプなため最終的には土に還るというエコフレンドリーな天然素材なのも魅力的です。
もしかしたらまた使う機会がやってくるかもしれないので、それまでは大切に仕舞っておこうと思います」。
櫻井 賢之
スタイリスト
ファッション誌編集部員を経て、2001年よりフリーランスのスタイリストとして活動をスタート。メンズファッション誌にとどまらず、広告から芸能、音楽シーンに至るまで活躍の場を広げている。幅広い知識に基づく洗練されたスタイリングに定評あり。1971年、東京生まれ。
スタイリスト
ファッション誌編集部員を経て、2001年よりフリーランスのスタイリストとして活動をスタート。メンズファッション誌にとどまらず、広告から芸能、音楽シーンに至るまで活躍の場を広げている。幅広い知識に基づく洗練されたスタイリングに定評あり。1971年、東京生まれ。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka
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