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大人の色気漂う走りが特徴、アウディe-tron GT

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アウディがお届けするBEVは見た目も走りもオトナでした。

コンセプトカーの発表から何度か姿を見てきたアウディe-tron GTですが、ついにそれを動かす時がきました。スタイリングからしてかっこいいですからね、正直待ち焦がれていたんです。低く構えた感じがイケてます。アウディのラインナップの中で一際レーシーさを醸し出しているRS7よりもワイド&ローなんですから驚きます。もはや4ドアとは思えません。

話題はスタイリングだけではなりません。メインとなるのは電動化。このクルマは先にリリースされたe-tronスポーツバックに続くBEVなんです。BEVとは“バッテリー・エレクトリック・ビークル”の略で、完全な電気自動車を指します。ご存じのように電動化と言っても、プラグインハイブリッド、ハイブリッドなどがありますから。それぞれPHEV、HEVと表記します。

でもって、その正体はポルシェ・タイカンの兄弟車。同じフォルクスワーゲングループなので、プラットフォームを共有します。BEV専用に開発されたもので、エンジンやトランスミッション、エキゾーストシステムなどを搭載するようにはできていないんです。徹底してますよね。なので、床下に広くバッテリーを敷くことができますし、サスペンション周りもスペースに余裕があります。それにボンネットを低くするのも苦労なし。このシュッとしたスタイリングはそんな理由からできています。

それじゃe-tron GTはどういうポジションかといえば、ガソリンエンジンをミッドに積んだR8の新世代版となります。要するにこれから到来するBEV時代のシンボル。と言うのも、アウディは2033年にガソリンエンジン車の生産を取り止めると発表しています。つまり、R8の寿命が告知されたようなもの。なので、そのポジションはスイッチされます。個人的には少々寂しいですが、それが時代の流れなんですね。う〜ん、残念。乗りたいガソリンエンジン車はたくさんありますが、お金ばかりではなく時間もなくなってしまいました。

e-tron GTには2つのグレードがあります。スタンダードモデルと、ハイパフォーマンス版となるRS e-tron GTです。最高出力はそれぞれ390kW、475kWとなります。一般的に使われる“ps”に換算すると、約530ps、約645ps。スーパーカーの領域ですね。最大トルクは640Nmと830Nm。RSの大トルクはさすがです。電気モーターの特性が見事にあらわれています。
航続距離はWLTCでともに534km。普段使いではまったく問題ありません。充電は急速充電、200Vと100Vの普通充電が共に使えます。アウディは今e-tronを扱うディーラーを増やしているのと同時に急速充電施設の設置を急いでいるのでまさに過渡期といったところでしょう。

ではe-tron GTの走りはというと、思った以上に快適でした。これだけレーシーな雰囲気を持っていますが、名前に“GT”の文字がつくことからも想像できるように、快適な高速移動を得意とするようです。試乗では高速道路をメインとしたのですが、直進安定性は高く、キャビンも終始静かでした。モーター音、風切り音は見事に消されています。「電気自動車は静か」と思われがちですが、実際はそうでもないんです。遮音材とかを着けないEVのレーシングカーを走らせたことがありますが、モーター音はかなりうるさかったと記憶しています。その意味では開発陣はプレミアムブランドとしてかなり工夫したことでしょう。

それじゃ直進だけなのかといえば、もちろんそんなことはありません。ステアリング操作に対し、右へ左へキレイに向きを変えます。ロングホイールベースですが、運動神経はいいですね。個人的には太すぎないステアリンググリップと重すぎないパワステのセッティングが好み。余分な演出がないのに好感を得ます。ところでクワトロシステムですが、これは前後のアクスル位置にある2つのモーターが行います。それぞれ0-100、100-0までのトルク配分を自動で行うそうなので、コントロール性は高いでしょう。コーナーの出口ではFR的な挙動が期待されます。ただ、今回は街中での試乗だけだったので、総体的な印象はおとなしかった。とてもジェントルでオトナのクルマと言った感じでした。

と言うことで、見た目も走りもオトナのe-tron GTは、これまでクルマを何台も乗り継いできたジェントルマンに乗っていただきたいと思います。ポルシェほど主張しすぎず、ほどよくインテリジェンスを感じるところがいいです。やはり“先進技術”をウリにしてきたブランドは伊達じゃありませんね。お見事です!







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