そしてもうひとつ興味深いのが、ここが終着ではないこと。写真集の始まりと前半で強調されていたのは「水」。いうまでもなく「火」は「水」で鎮まる。これがおそらく構成として仕掛けられた最も大きな対比。それに気づきながら本を閉じるとき、どんな時も自分を律し、冷静でクールに自分自身と向き合い続ける、いつもの山下智久の姿がまたはっきり浮かんでくる。
「火/水」という自然のもつ普遍的な摂理とともにだ。彼はこの一冊で表現された〈自己確認〉と〈自己更新〉を、そして自然にふれた〈エネルギーの補填(自己補修)〉を、原点に立ち帰るように繰り返していくのだろう。
自然の循環のように、日々のライフスタイルの巡りの中で。淡々とたゆむことなく......。その余韻と残像は、確かに「新しい山下智久」をみせる一方で、「変わらない山下智久」もみせる。
その2つの像(対比)をたゆたう不思議な満足感が押し寄せる。その中で「これでこそ山Pの写真集だ」と感嘆がこぼれる。
【次回へつづく】
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