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『山下智久』を学者が「唯一無の存在」と絶賛する、驚きの理由

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大事なのは、なぜこれほど多くの「対比」で山下智久を切り取る必要があるのかだ。その意味と理由を少し考えてみたい。別章で書くことにも重なるが、彼はもともと二面性を強くはらんだ存在である。

興味関心やチャンス、とりわけ夢の実現とそのためのスキルアップに対しては誰より〈アクティヴで情熱的〉だが、他方で〈冷静で知的なクールさ〉も併せ持つ。外からみえる肉体は徹底的に鍛えられ〈強く頑丈〉だが、その中身は誰より〈謙虚で思慮深くて繊細〉。

最近の活動でいえば、語学力をつけ「日本語/英語」を使い「日本/海外」を横断し「役者/歌手」を極めるべく格闘している。さまざまな面で、彼は相反する〈二つ〉を往還し、時にそのギャップで人々を魅了してみせ、表現を差し出しいく。

そのどちらもが山下智久であって、それを区分けすることは意味がなく、むしろ彼の全体を捉え損ねかねない。

そう考えてくると、この写真集で無数の「対比」で照らされた彼は、何か一方の面や性格で自分を決めつけてほしくない、と主張しているようにも解釈できなくもない。もっと言えば、そうした既に決められた図式に収まらないために、既存ではない新しい”境界線“を見つけようとしているとも読み取れる。

自己を縁取って支えているものが何で、他に新しい何がありうるのか。それは、自分の置かれた「立場・肩書き・状況・境遇・運命」を見つめ直し、拡張・更新してゆく冒険的な実践である。

別でも少しふれるが、山下智久の身体のシルエットの数々を見ていると、彼という存在を象る「輪郭」であるはずのものが、彼の触れる自然や空間に溶け込んで揺らいだり、別の印象で立ち現れたりする経験を何度もする。

独立してグローバルに展開を始めたいま、彼はまさに変わろうとしている。自身の理想や方向性のもと、これだと目指す変化もあるだろう。でも、それにこだわらない柔軟性を持つのも山下智久だ。

どう変わるか分からないし、どうにでも変わりえる。周囲の環境や関わる人々によって、もたらされる変化も楽しむように受け入れていく。

そこには、私達(大衆)から自分がどう見られイメージされるかも含まれる。そうしたあらゆる「変容」の可能性とそこへ向けた期待や希望が、写真集の《対比を生きる山下智久》には体現されているように感じるのだ。



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