結婚生活は、「憧れ」ではなく「身構え」が必要です
★★★
ようこそ お越しくださいました
ここは繁華街にひっそりと佇む
『純喫茶ぺぺ』
昭和レトロでどこか懐かしさを感じる
恋に迷える大人達のユートピア
ここは純喫茶の雰囲気を大切にしており
一風変わった店主が
お客様をイメージした珈琲カップの代わりに
お悩みにぴったりの「恋のナンバー」を
硬派にお出ししております
刺さりすぎて気絶なさらないよう
お気をつけくださいませ
どうぞ 最後までおくつろぎの上
ゆるりとおたのしみください
純喫茶 ぺぺ
★★★
本日のお客様は、
母、嫁、妻、と仕事の両立……完全に疲れてしまいました。
夫は家事・育児に非協力的です。
その上、夫の姓を名乗ることで、自分のアイデンティティが失われることに恐怖を感じます。
夫の姓になることで、夫の所有物になる気がして嫌です。
選択的夫婦別姓が認められたら、家庭の中でも男女平等になって、夫が家事や育児に協力的になってくれるのでしょうか。
この考えは変ですか?
──ジョニー別府 会社員(35)
ジョニー別府さん、ご来店ありがとうございます。
女性にまつわるカテゴライズされた役割を、全てひとりで抱え込んでしまうと、当然気絶してしまいますよね。
核家族・共働きが当たり前になってきた現代、全部やり遂げてしまう真面目な女子も多いので、パートナーに値打ちを理解してもらえなかったり、自爆してしまう人も沢山いると思います(逆気絶)。
それだけ、女性というのは適応力に長けていて、いざその局面に立たされた時に、順応できてしまうのだから凄いんですけど。
平静を装い、人知れず色々捨ててきた先輩方も多いのではないかと思います(気絶)。
さて、今回のご相談が、家庭内での男女平等を保つ為に、「選択的夫婦別姓」があれば救われるのかな?ということですが、個人的には苗字を変えただけでは、何も解決しないと思うのです(気絶)。
今の法律ですと、選択的夫婦別姓が認められていないので、苗字を旧姓に変えるとなると、一旦「ペーパー離婚」をして「事実婚」という手続きになりますね。
苗字が同じだから、旦那様の所有物になるという考えも違う気がしますし、もっと根本的なところに、問題が潜んでいると思います。
一方で、結婚の際に、「好きな人の苗字に変わることに対して喜ばしい」という意見の方も、ぺぺ調べでは根強く多いですね。
婚姻届けや面倒な手続き変更でさえも、嬉しさが勝ってしまうという人もいれば、「家に入る」という言葉自体を拒絶してしまう人もいます。
十人十色な価値観が受け入れられやすい世の中になってきたとはいえ、個々の考え方や選択肢があるからこそ、意見の交換や争いが生まれてしまうのも現実です。
これって、どっちも正しいですし、「多様性」という魔法の言葉を使いたくなりますね(気絶)。
選択的夫婦別姓
今回、名前を旧姓に戻したいということですが、確かに苗字を変えるのは女性が9割以上と圧倒的に多いですし、結婚までのキャリアや論文等の名義など、今まで一貫してきたものが損なわれるのは恐怖が伴います。
また、近年の少子化の影響で、ひとりっ子同士の結婚の場合、自分の家の苗字を継ぐ兄弟姉妹が他にいなかったりで、旧姓のままでいたいという人もいますよね。
人間の組み合わせは変わらない
今後、選択的夫婦別姓が法律で認められ別の姓を名乗ることが出来たとしても、家庭の中が男女平等になるかというと疑問です。
いくらお互いが別の苗字を名乗り、2人が自立した関係のように見えても、中身は同じままだと思います。
それは、個々の「人間の組み合わせ」は変わらないので、夫婦生活の「やり方」を見直すしか方法は無いと思います。
何度も話し合いを重ねて、改善の糸口を探れたらいいですよね。
それでも、何も変わらないのであれば、「離婚」という選択もあると思います。
結婚相手の選び方
今回は、私などが軽々しくアドバイスなんてできない複雑なテーマだと思いますが、ある人にこう言われたことがあります。
「結婚相手は、自分がこの人の為なら死んでもいいと思える人を選ぶといい」
この言葉、その後もすごく心に引っかかっていて、すごく印象に残っていました。
後に、その意味を理解して、私は「結婚」したんですね。
その時に出た解釈は、「死ぬ」=「自分の今までの人生を捨ててもいいと思える人」だと思いました。
言葉で書くとちょっと激しく聞こえてしまいますが、それは、自己犠牲とかじゃなくて、「独身時代のように、自分中心の生活が出来ないという覚悟」で愛せる相手。
今まで築いてきた自分の人生の途中で、次のバトンを渡していいような気持ちにさせてくれる相手。
そう想える相手であり、自分にそのような覚悟がないと、「結婚生活はこんな筈じゃなかったのに」の不満の連続で、簡単に離婚してしまうと思うんです(気絶)。
それぐらい、他人と人生を共にすることは、「変化」を伴うことだからです。
不思議なもので、最初から大変だと身構えていたら、大抵のことは平気なのです。
最初から楽しいイメージだけでいると、いざ大変になった時に我慢や辛抱が出来なくなったりするものです。
結婚生活は、「憧れ」ではなく「身構え」が必要なのかもしれませんね。
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【お答え】
苗字を変えただけでは、何も解決しません
結婚生活への憧れではなく、身構えが必要です
夫婦生活の「やり方」を是非見直しましょう
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今回ご紹介するナンバーは、山口百恵さんの『秋桜』です。
さだまさしさん作詞・作曲で、嫁ぐ娘が母を思う気持ちを歌ったこのナンバー、当時の山口百恵さんはなんと18歳でした。
「結婚生活はこんな筈じゃなかったのに」とならない為に、少しの苦労は笑い話に変えられるよう、事前に覚悟をすることも大事ですね。
少し余談が過ぎますが、若い娘にカラオケでこの歌をリクエストした時、歌詞にルビがなかったので、嫁ぐ(とつぐ)を、稼ぐ(かせぐ)と歌われ、気絶したというダンナも多いとか。
小春日和のような優しさで、聴かなかったフリをしたいですね(気絶)
“こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
明日嫁ぐ私に苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと笑った”
「秋桜」
歌:山口百恵. 作詞:さだまさし. 作曲:さだまさし
参照:『Uta-Net』
お客様、選曲はお口に合いましたでしょうか?
またのご来店、心よりお待ち申し上げております。
純喫茶 ぺぺ
Photos:Yuta Takamatsu, Shuhei Kato
Text:RIKAPEPE(ペペ)
Illustration:Eri Sakai