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スパイダーさえあれば!幻となったNSX のオープンモデルはホンダの運命を変えたか?

安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

アウディR8コンバーチブル、フェラーリ488、ラ フェラーリ アペルタ、ランボルギーニウラカンスパイダー、BMW i8など、スーパースポーツと呼ばれるモデルの多くに、オープンモデルが用意される。しかし、日本のスーパースポーツである現行2代目NSXには、オープンモデルは用意されず、まもなく販売終了を迎えようとしている。

実は、2代目NSX発表当初は、オープン仕様となるスパイダーの存在が噂されていた。スーパースポーツであるならば欲しかったオープンモデル。もし2代目NSXにスパイダーが用意されていたら、NSXの運命はかわったのだろうか。

 

■初代NSXには存在したオープントップモデル

海外市場、とくに晴天率の高いアメリカの西海岸では、昔からオープンスポーツのニーズが高い。そのため、フェラーリやランボルギーニ、メルセデスやアウディなど、ラグジュアリースポーツモデルには、必ずオープンタイプが用意されていたし、フォードマスタングやシボレーカマロのコンバーチブルが走っているのを、アメリカではよく見かける。高級車だけでなく、MINIやVWビートル、ゴルフなどにも、オープンカーが設定されていた時代もあった。

日本車でも、マツダ・ロードスターの歴代モデルを筆頭に、Z32フェアレディZのコンバーチブル(1992年)、Z33とZ34のロードスター、S2000(1999年)やS15シルビア・バリエッタ(2000年)など、オープンタイプのスポーツモデルはいくつかある。そして、初代NSXにもオープントップモデルが存在した。

初代NSXが登場した1990年から5年後の1995年3月、NSXにオールアルミ製で取り外し可能なルーフを持つ「タイプT」が登場。アルミルーフの重量は8.5kg、ルーフの着脱は左右のレバー操作で可能、また取り外したルーフはトランクルームなどのユーティリティやエクステリアを損なうことなく、リアキャノピー内に納める方式を採用していた。

1995年3月8日に発表されたオープントップモデルのNSXタイプT。フロントピラーとフロントルーフレールの形状を工夫することで、オープン走行時の風の進入を極力低減。余分なディフレクター(風の整流板)が不要となった。

当時の希望小売価格は960万7000円(消費税含まず)。ベースのNSX(830万円)に対し、130万円ほど価格は高いが、当時絶好調だったF1のイメージを持っていたホンダにとって、その花形モデルであるNSXのオープンルーフモデルの登場は、マーケティング的にも効果があった。中嶋悟やアイルトン・セナといった、当時のヒーローが開発に関わったというストーリーも、初代NSXを盛り上げた理由の一つだった。

 

■「2400万円」を感じられる見た目が欲しかった 

2代目NSXが登場したのは2016年のこと。V6をミッドシップし、フロント2モーター、リア1モーターを搭載、独自のSH-AWDを追求した、スーパーマシンだ。

だが、その価格は一般人には到底の届かない2400万円という超価格。スーパースポーツのなかでは、一般的な価格帯ではあるが、90年代に大活躍したF1で培ったホンダブランド(北米ではアキュラブランド)の神通力は、もはや過去のもの。フェラーリやランボルギーニ、メルセデスといったブランド力がないのも関わらず、2000万円オーバーは、やりすぎであった。

また、2代目NSXは、走りのメカニズムに凝った分、インテリアの質感が手薄だった。アートの如く美しく、妖艶な色気すら漂うライバル車には遠く及ばず、ホンダの高級セダンを引き継いだようなつくりであったことも、2代目NSXの不振に影響したであろう。目新しさに惹かれて購入した富裕層に一通り行き渡ったあとは、販売が振るうことはなく、早期消滅へと繋がってしまった。

最終モデルのタイプSは、グローバルで350台、このうち日本向けは30台の生産量

もし、この2代目NSXにスパイダーが設定されていたとしても、2400万円という価格が下がるわけでもなく(むしろ上がるだろう)、インテリアの質感が大幅に向上することは難しい(これをやるとまた価格が跳ね上がる)。オープンモデルがあることで、多少の華やかさはプラスされたかもしれないが、大きく運命が変わるようなことにはならなかったであろう。

 

■NSXを真っ先にEVもしくはFCV化すべきでは!?

最終モデルのタイプSは、グローバルで350台、このうち日本向けは30台の生産数となる。応募は殺到したようで、2代目NSXは有終の美を飾ることができそうだ。ただ、「それでいいのか!?」と筆者は思う。名門「NSX」ブランドをあっさりと取り下げてしまうのは、非常にもったいない。

ホンダは、2040年までに、全車EV・FCVへと切り替える宣言をしている。NSXはホンダを支える名ブランドであり、世界中で広く認知されているスーパースポーツだ。ここで途絶えさせるのではなく、このNSXを真っ先にEVもしくはFCV化し、「EV・FCVのホンダ」を世界にアピールするべきではないだろうか。そもそもスーパースポーツとは「イメージリーダー」としての存在価値が大きいはずで、この機会にNSXを利用しないのは「もったいない」としか思えない。

名門「NSX」ブランドをあっさりと取り下げてしまうのは、非常にもったいない

もちろん、これで終わりとは限らない。NSXをEVもしくはFCV化して復活、というストーリーもあるだろう。ただそれも賞味期限がある。ホンダならば、きっとやってくれるだろう。一刻も早い、日本のスーパースポーツの復活を期待している。

 

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:HONDA
Edit:Takashi Ogiyama

 



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