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フェラーリ初のハイブリッド、296GTBはどんな車?

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2021年10月14日に日本初公開となった、フェラーリの新型の2シーターベルリネッタ(高性能スポーツクーペ)「296GTB」。その最大のトピックは、フェラーリ初となる、3リッターV型6気筒ターボエンジンとプラグインハイブリッドモーターを組み合わせたパワートレインを搭載したことだ。システム出力は最高830psにも及び、そのパワーは後輪駆動で路面へと伝えられる。フェラーリの新型モデル「296GTB」の詳細をご紹介していこう。

 

■「コンパクトでモダン」な新しい時代の2ドアクーペ

「296GTB」が世界初公開されたのは、2021年7月にイタリア・モデナで開催された「モーターバレーフェスト2021」の場だ。フェラーリのロードカーで初めて、120度のシリンダーバンク角を持つ6気筒ターボエンジンと、プラグインハイブリッドシステムの駆動モーターが搭載されるとあって、大いに話題となった。

ボディサイズは4565×1958×1187mm、ホイールベース2600mm、車両重量は1470kg(乾燥重量)で、フロント側重量配分は40.5%、駆動方式はMRのみとなる

296GTBは、2600mmという短めのホイールベースの間に駆動用バッテリーをレイアウトしており、過去10年間にフェラーリから登場したどの2ドアクーペよりもコンパクトなサイズだ。フェラーリ自身も「コンパクトでモダン」というように、スタイリングも古典的なファストバックスタイルを抜けだし、盛り上がったフェンダーやルーフ、垂直リアスクリーンなど、随所に新しいチャレンジがみられる。Bピラーのカットやリアフェンダー、短いリアオーバーハングなどは、1963年の250LMから引き継がれたコンセプトだ。

タイヤサイズは前245/35ZR20、後305/35ZR20の前後異幅サイズとなる。ブレーキング時にせり出す、可変リアウィングも装備している

インテリアはモダンでエレガントな印象。フルデジタルのインターフェースを中心に、左右対称のメーター類も上手くまとまっている。面白いのは、助手席側にディスプレイが設置されており、まるでコ・ドライバーのような雰囲気を味わえるようになっている。

フルデジタルのイン二―フェイスを中心にしたレイアウトは視認性も良い。

 

■最高回転数8500rpmまで回るV6ツインターボを搭載

総排気量2992ccのV6ガソリンエンジンを、エンジン直上にレイアウトされたターボチャージャー(IHI製)によって加給することで、最高出力663ps/8000rpm、最大トルク740Nm/6250rpm、最高回転数は8500rpmを発揮する。エンジン単体でも、十分にハイパフォーマンスだ。ちなみに、エンジンはフェラーリ内製だ。

120度のバンク角を持つV型6気筒DOHCツインターボエンジン。エンジン総排気量は2992cc、最高出力663ps/8000rpm、エンジン最大トルク740Nm/6250rpm、最高回転数は8500prm

ターボチャージャーには、高性能合金を採用した新設計がなされており、ターボの最高回転数は18万rpmにまで引き上げられたという。高いパワーを実現しながらも、従来のV型8気筒エンジン用ターボチャージャーよりも小型軽量化がなされている。

 

■システム最高出力はなんと830psにも!!

このV6ターボの後方には、最高出力167ps、最大トルク315Nmを発揮する電気モーターがレイアウトされる。モーターとV6ツインターボによるシステム最高出力は830ps、システム最大トルクは740psという強烈なパフォーマンス。これに、8速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされ、パフォーマンスは、0~100km/h加速が2.9秒、最高速は330km/hにもなるという。

リアミッドに搭載される、2992cc V型6気筒ツインターボエンジンと駆動用モーター。モーターとV6ツインターボとの合計は、システム最高出力が830ps、システム最大トルクは740psにもなり、なんと後輪駆動でトラクションを伝えている

プラグインハイブリッドシステムは、蓄電容量7.45kWhの駆動用バッテリーをフロア下にレイアウトし、冷却システムと構造部材、固定装置をまとめたことで小型化、軽量化に成功した。また、走行状況によっては、「トランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)」という装置を介して、エンジンとモーターの間にあるクラッチを切り離し、最大25kmのEV走行(eDrive)へと移行することができる(最高速は135km/h)。このプラグインハイブリッドシステムを使うのは、296GTBがフェラーリ初となる。

 

■サーキット仕様の「アセット・フィオラノ」も設定

新世代のハイブリッドスーパーカーを味わい尽くしたい方には、究極のパフォーマンスを求める、サーキット仕様の「アセット・フィオラノ」も用意されている。空力性能向上を狙ったエアロパーツや、サーキット走行に合わせたアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブゾーバー、フロントバンパーのカーボンファイバー製ハイダウンフォースパーツ、軽量リアスクリーンなどを採用。車両全体で、12kg以上もの軽量化を実現している。

究極のパフォーマンスを求める、サーキット仕様の「296GTB アセット・フィオラノ」も設定されている

パフォーマンスと環境性能、という相反する性能を両立すべく誕生した、新世代のハイブリッドフェラーリ。その実力は、限られたオーナーのみが味わえる、「極上の一台」であるに違いない。

<フェラーリ296GTB スペック>
全長×全幅×全高:4565×1958×1187mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1470kg(乾燥重量)
前後重量配分:40.5%フロント/59.5%リア
トレッド(フロント/リア):1665mm/1632mm
駆動方式:MR
パワートレーン:120度 V6 DOHCツインターボ+モーター
エンジン総排気量:2992cc
エンジン最高出力:663ps/8000rpm
エンジン最大トルク:740Nm/6250rpm
モーター最高出力:167ps
モーター最大トルク:315Nm 
システム最高出力:830ps/6000rpm
システム最大トルク:740ps/6250rpm
最高回転数:8500prm
パワーウエイトレシオ:1.77kg/ps
燃料タンク:65L(プレミアム)
バッテリー容量:7.45kWh
EVモード走行距離:25km
トランスミッション:8速DCT
タイヤサイズ:前245/35ZR20、後305/35ZR20
ブレーキ:398×223×38mmフロント/360×233×32mmリア
燃料消費量:6.4/100km(≒15.6km/L)
CO2排出量:149g/km
電気エネルギー消費量:140Wh/km

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:FERRARI
Edit:Takashi Ogiyama

フェラーリ296GTBの公式サイトはこちら



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