革の質感も素晴らしく、キズやスレにすら愛着が湧きます
さて、243回目だってエルメス。リバーシブルで使えるレザーのトートバッグ「ドゥブル センス(Double Sens)36」です。
もう、とにかくシンプル。潔くポケットもなし! ただただ贅沢なレザーを使って、袋状に縫われたトートバッグですね。
いろいろポケットがあるバッグって便利ではあるんですが…、「どのポケットに 何」なんて細かいルールを作って収納したりすると、入ってなかったときに慌てて、地味にテンパる(笑)。
なので、なるべくおおらかに、ポンポン詰め込めるくらいのトートバッグが大好き。
大きくて何でも入れちゃおうってときは L.L.ビーンなんですが、仕事で使えて、"余計なものは入れない"というルールを自分に課すのに丁度良かったのが、このエルメスの「ドゥブル センス 36」でした。
45という縦型サイズの展開もあるんですが、縦長タイプのトートって意外に無駄なスペースが多い。その点、コレは縦も横もほぼ同寸で 使い勝手も抜群ですし、ハンドル(持ち手)も 50cmほどあって重いものを入れた際には肩にも掛けられるので、かなり重宝しています。
レザーのバッグ、とくにエルメスのって自重があって、荷物入れなくても重かったりするんですが…、これは 800g程度。L.L.ビーンのラージがキャンバスでも 709gなので、そこまで大差はない。
と、ここまで使い勝手が良いとなると人気も高くて、争奪戦は必至。しかもリバーシブルで 両面の色も異なるから、なかなか気に入ったものには出逢えません。
店頭で尋ねれば、国内の在庫状況は教えて頂け、お取り寄せの対応も可能ですが、購入が前提。さすがに実際のもの、そして色(しかも 両面ね)を確認せずに買うのは躊躇するので、ずっと二の足を踏み踏みしまくっていました。
ところがある日、店頭に別の色がディスプレイされており、眺めていると、「別の色もありますよ」とのお声掛けを頂く。遠慮せずに拝見すると、かなり理想に近い色み。
「ドゥブル センス」は、女性が使いやすいよう結構キレイで、明るめなカラーリングのものが多いんですが、それだと汚れやキズが目立つし、仕事では使いにくい。
しかし、このくらい渋いものならスーツでも合わせられるし、汚れやキズだって経年変化として愛せる。
素材は、シボがやや大き目な雄牛のグレインレザー、"トリヨン・クレマンス(Taurillon Clemence)"。最初から柔らかいのが特長な革ですが、使い込むとさらにヤワヤワになって使いやすくなるので、安い買い物ではなかったものの、「運命的な出逢いだ」と言い訳して清水ダイブ! 欲しいと思ってから2〜3年の時を経て、やっと我が家にやってきました。
それからは八面六臂の大活躍。購入して4年ほど使い込んでいるので、擦りキズや角のスレなどもありますが、それもイイ味。革も日に日に柔らかくなって、使いやすいこと この上なしです。
となると、気がつきゃ使ってるのは奥方ばかり。我が家での争奪戦は、奥方が圧勝のようです…。
Photo:Shimpei Suzuki(ITEM)
Text:Ryutaro Yanaka