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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

噂のラグジュアリーEV、ルーシッド・エアーを日本で目撃⁉︎

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説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

ライバルはテスラではなくメルセデス

首都高速湾岸線を横浜方面へ走っていると、何やら見慣れない近未来フォルムのクルマを乗せた積載車を発見! そのクルマはやたら低くてカッコイイ。しかし、あまりに唐突な出来事で車名が思い出せない。夢か幻か、はたまた妄想か? その日、慌ただしく取材を終えた頃にやっと思い出した。あれはBEVのルーシッド・エアーだ(たぶん)。

新興EVメーカーの米ルーシッド・モーターズは、やたらテスラと比較されることが多い。個人的には根本から商品企画が異なると思うのだが、同社のCEO兼CTOのピーター・ローリンソンが元テスラのエンジニアであり、モデル3を開発した人物であることも影響しているのだろう。

コロナ禍で開発と工場建設が遅れていたルーシッドだが、サウジマネー(政府系ファンドのPIF)による資本強化もあり、足元を固めていよいよ発売開始に。現在は300ドルの申込金があればオーダーを受け付けているという。米専門メディアであるモータートレンドでは2021年のカーオブザイヤーを獲得。評価は上々だ。

最新情報へのアップデートを兼ねて市販版ルーシッド・エアーのモデル構成とスペック、価格を確認しましょう。

【Lucid Air】
Air Pure:480hp(406miles)7万7400ドル
Air Touring:620hp(406miles)9万5000ドル
Air Grand Touring:800hp(516miles)13万9000ドル
Air Dream Edition Range:933hp(520miles)16万9000ドル
Air Dream Edition Performance:1111hp(471miles)16万9000ドル

エントリーモデルのピュアは1モーター搭載の後輪駆動モデルといわれていたが、資料を見る限り全車ツインモーターのAWD(フルタイム)。しかし、それにしても安い! ポルシェ・タイカンの2WDエントリーモデルが日本価格1203万円。歴史や販売ネットワークなど下地が違うとはいえ、日本でもアンダー1000万円で販売できそう。

上記データの航続距離はEPAによるマイレージなので、欧州勢が採用するWLTPより約12%厳しい数値。トップモデルは0-60mileが2.5秒、最高速度が168mhp(約270km/h)とパフォーマンスは申し分ない。

前出のピーター・ローリンソンによれば、ライバルはテスラではなくメルセデスだという。テスラ創業時は2シーターのオープンカーからスタートしたが、ルーシッドはラグジュアリーセダンから始めた。基本的には5名乗車だが、オプションのエグゼクティブリアシートパッケージ(今後利用可能になるオプション)をおごれば、さらにラグジュアリーな仕立てとなるでしょう(メーカー曰く、ジェットスタイル体験を提供)。

ご参考までに掲載した画像はメルセデスEVのSクラスと呼ばれるEQSのAMG版であるハイパフォーマンスの『Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+』です。EQSのデザインは相当イケてるな~と思ったのも束の間、カッコだけ比較すればルーシッド・エアーはブッチ切りの存在感を放ち、未来への活力を感じます。

ルーシッド・エアーのボディサイズは、全高4975.3×全幅1939(ミラー開:2198)×全高1410mmでホイールベースが2960mm。彼ら曰、「EクラスのボディサイズでSクラスの居住性」となります。ちなみにストックのEQSのボディサイズは、全長5216×全幅1926×全高1512mmでホイールベースが3210mm。日本での使い勝手を考えると全長5メートル未満が最適でしょうか。

デザインは御覧のとおり。特徴的なのはフロントガラスとルーフがワンピースのガラスでできており、ラミネート加工され、衝突や転倒時にガラスが飛び散らないように配慮されている。ボディ構造はオールアルミ製。もっとも大容量のバッテリーを搭載したドリームエディションで車体重量は2358kgだ。

プロトタイプを発表した2017年より大きく進化したのはバッテリーとインバーターを含むモーター(ともに自社製)だろう。詳細は省いてわかりやすく説明すると、そもそもルーシッド・モーターズはBEVレースの最高峰であるフォーミュラEにおけるバッテリーのサプライヤーであり、遊星ギアを組み合わせたモーター重量は約74kg。自動運転機能は実質的にレベル3を実現。

環境問題を別とすれば、どこから電気をもってこようが構わない。EVに必要なのは消費者をシフトさせる魅力であり、何よりもクルマ自体に人の心を引き寄せる突破力が必要だ。その点、ルーシッド・エアーは十二分に魅了されるし、また第2弾としてSUVのグラヴィティが控えている。

苦言を呈したいのは日本のインフラだ。直近の情報では急速充電器が200kWになったというが、それはあくまで総量であり、実際に充電すると最大で90kWしか出ない。それでも現状よりは進歩しているがそれも2台までであり、3台、4台と増えればたこ足配線状態に。こんな現状では30分充電しても実用にならない。

最後に1000万円のEVなんて買えないという方に。ルーシッド・モーターズは米国株なので1株から買えます。最新株価をブルームバーグ(ティッカーはLCID)で見ると2021年11月18日の終値は52.55ドル。テスラ株のように大化けするかわかりませんが、EVの未来に参加するつもりでお小遣い程度の予算で当事者になるのは誰でもOK! 選択はアナタ次第です。

Text:Seiichi Norishige

ルーシッド・モーターズ



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