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FASHION 店主の拘りが強い店

元豆腐屋の中に洋服屋!? 五本木・三宿通りにあるTFの品揃えに唸る!

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服好きにとって、メンズショップの店主やスタッフと服の話をするのは何よりも楽しい。

マニアックで博識でクセがすごい店の“トリセツ”を紐解いていく連載、今回は目黒区五本木の交差点近く、三宿通りを歩いていると思わずのぞき込んでしまいそうな大きな窓を持つメンズセレクトショップ『TF』をチェック。店のキャッチフレーズになっている「豆腐屋の隣りにある洋服屋」から、10月2日に「元豆腐屋の中にある洋服屋」へとリニューアルオープンして、取材班を出迎えてくれたのは、バイヤーの鈴木雄介さんと岡本 碧さん。二人とも30代前半です。

【TFのトリセツ①】のどかな五本木の街との共存

どんな街にもある「洋品店」の現代・進化版を目撃!

――店内にいると大きな窓越しに、通りを歩いている人と目が合って、思わず会釈しちゃいそうですね(笑)。

鈴木雄介(以下、鈴木) 2011年11月にオープンしてから、隣りにあるTF(LABO)で約10年間営業していて、「豆腐屋の隣りにある洋服屋」としてやってきました。その豆腐屋さんが今年5月に引退されると聞いて、「物件はどうするんですか?」と尋ねたら、誰かが借りてくれればと言われたので、「それではうちが借ります」とすぐ手を挙げました。

――それで、「元豆腐屋の中にある洋服屋」になったワケですね。

鈴木 約65年続いてきた豆腐屋の痕跡を意図的に店内に残したくて、豆腐屋だった床の上に新しい床を乗せたり、試着室部分は壁やドアを残して、外のタイルもそのまま使っています。

岡本 碧(以下、岡本) 「豆腐屋の隣りでやっていたメンズショップが豆腐屋の中に入った」感じですね。


豆腐屋だったときの壁やドアなどの痕跡が残る試着室

――まさに、街に根づいたメンズショップですね。なぜ、10年前にこの場所に店を出したんですか。

鈴木 オーナーがこの三宿通りが好きで、「落ち着いたところでお店をやりたい」と選んだそうです。

岡本 こういうロケーションなので、お客さんはご近所の方も多く、常連さんもできてきました。


バイヤーの岡本 碧さん

鈴木 通りに面したこの大きな窓も豆腐屋の痕跡を残していて、クルマや自転車に乗っている人が「ここは何の店?」とフラッと寄ってくれたりします。

岡本 10年営業して、街と人にやっと認知されてきた感じですね。

【TFのトリセツ②】FORZA世代にぴったりのセレクト

おしゃれ男子のクローゼットの中を覗いているような品揃え

――鈴木さんと岡本さんはお二人とも「BUYER」という肩書きですが、役割分担はあるんですか。

鈴木 現在のバイイングは、自分と岡本と外部ディレクターの3人体制で、この体制になった3年半前から徐々にセレクトが固まってきました。

岡本 僕と鈴木がこのTFを担当し、外部ディレクターが隣りのTF(LABO)を担当しています。どちらも形態はセレクトショップです。

鈴木 岡本と2人で展示会を回って、気になるモノや僕たちが欲しい商品をピックアップし、外部ディレクターと3人で揉んで、買い付けを考えています。


バイヤーの鈴木雄介さん

岡本 TFは、メンズブランドのAURALEE(オーラリー)、CIOTA(シオタ)、COMOLI(コモリ)、HERILL(へリル)、KAPTAIN SUNSHINE(キャプテンサンシャイン)、LADY WHITE CO.(レディーホワイトコー)などを揃えています。

――バイイングの基準は何ですか。

鈴木 30代から40代の男性が、「休日に肩肘張らずに着られる質の良い服」です。品質に関してはブランドの方々が日々努力されていると思うので、それをどう提案するかが僕らの仕事ですね。

岡本 僕たちが扱いたいものが大前提ですが、男性のライフスタイルを豊かにする商品を提案しています。

――なるほど。品揃えを見ていると、FORZA STYLEの読者の「クローゼットの中を覗いているような感覚」がありますね。

【TFのトリセツ③】2021年秋冬は10周年記念モデルが満載

街に根づいたメンズショップの“別注”アイテムがシブすぎる

――では、TFのお薦めの別注商品を紹介してください。

鈴木 30代・40代の男性が、休日にちょっと出かけるときや、子供と公園に遊びに行ったりするときに、思わず手が伸びるジーンズをCIOTA(シオタ)と別注で作りました。ライトブルーとダークブルーの2色です。

岡本 シオタは岡山にある縫製工場・生地製造販売会社が立ち上げたブランドで、TFではジーンズはトレンドに関係なく提案していて、その中の一つとしてTFの定番に育てていきたいモデルとして作りました。

鈴木 「普段、気軽に履けるジーンズが欲しい」という発想から、86年に生産が終わった501の赤耳をベースにした別注で、インライン(通常商品)のストレートより、お尻周りをコンパクトにし、紙パッチを付けました。僕たち30代にとって、ヴィンテージモデルより馴染みのある懐かしい感じのジーンズに仕上がっていると思います。「TFが考える501の進化版」ジーンズですね。


TF×CIOTAジーンズ「ライトブルー」3万9800円、「ダークブルー」3万5200円

岡本 今回は2色展開ですが、今後もお客さんのリクエストを聞きながら進化させていこうと思っていて、「TFにいつ行ってもあるもの」として売っていきたいと思います。

鈴木 11月19日(金)がTFの10周年になりますが、それに先行してジーンズは11月6日(土)に発売を予定しています。

――お店のリニューアルオープンと合わせて、記念すべき10周年モデルですね。

岡本 もう一つのお薦めは、自分が着ているHERILL(へリル)のカシミヤカーディガンです。

鈴木 カタチ自体は完成されているケーブルニットですが、カシミヤ100%を贅沢に目を詰めて作った別注で、「上品に着るケーブルニット」です。

岡本 カラーネップのオリジナル糸をデザイナーさんがTFのためにイチから作ってくれて、その糸を見たときに即決して作りました。自分のは着てから1~2週間ぐらいですね。


TF EX Cashmerenep Cable Cardigan(TF エクスクルーシブ カシミヤケーブルカーディガン)15万4000円

鈴木 このカーディガンは、「一回見て、忘れられなくて、また戻ってきました」という方が多いですね。こういう「地味かも知れないけど、着るといいです」というものは人気です。

岡本 おじいちゃんが着ていそうなカーディガンですが、着ていて気持ちいいです。

鈴木 TFにとって別注アイテムは、「こういう商品がないから作る」もので、それをお客さんに「楽しい、面白い」と言ってもらうと、本当にうれしいです。

【TFのトリセツ④】男にとってセレクトショップとは

TFと隣りのTF(LABO)は、アナログレコードのA面とB面のようなもの

――メンズショップとして10年の歴史になりますが、30代・40代の男のおしゃれってどう考えていますか。

岡本 男性は歳を重ねると自分のスタイルが決まってきますが、その枠の中でどう遊ぶかだと思います。

鈴木 安いお酒を飲んでいた20代とはちょっと違って、年代モノを飲み始めるのと同じ感覚に似ていると思いますね。それと、「今年はこう着たけど、3年後はこう着よう」というサイクルは、TFの商品でも考えています。


左側の白い外装の店がTF(LABO)

――隣りのTF(LABO)とはどういう関係ですか。

鈴木 TF(LABO)の商品は外部ディレクターのチョイスで、「モノと向き合いながら、しっかり考えて買ってもらう」という、売り方も含めてLABO感覚です。

岡本 TF(LABO)は土日祝のみオープンで、品揃えの考え方はTFと同じですが、ブランド構成は全く違います。アナログレコードのA面とB面みたいな感じですね。

鈴木 テンションは違うけど、根底は同じです。


「お店が広くなったら扱ってみたかった」というライスタイル関係のアイテムも登場

――10年目を迎えたTFのこれからは?

鈴木 ずっと「自分たちで仕入れて、自分たちで売る」体制でしたが、今はスタッフも増えて、安定した商品と居心地の良い空間と良いスタッフがいれば、街に根づいていく意味があると思っています。

「TF」
東京都目黒区五本木2-52-10
03-3711-7795
14:00~20:00
水曜定休
TFオフィシャルオンラインショップ

Photo:Yuuji Hirose(Quand Photos)

Text:Makoto Kajii



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