どんなにボロボロになっても手放さず、一生着続けます!
バーニーズ ニューヨークの顔的存在として、PRや自社メディア、オンラインストアを統括する中野光章さん。インディアンジュエリーに対する造詣が深いのは業界内外でも有名で、数多の名作を備えています。
ファッションにおいても、モードにとどまらず、古着、ストリート、はたまたアルティザンまで幅広いジャンルに精通する中野さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第8回目は、メゾン マルタンマルジェラ時代のダブルのコットンジャケットです。
「メンズのためのコレクション、ライン10がスタートする以前からマルジェラが好きで、バーニーズ ニューヨーク新宿店3Fでウィメンズのニットの大きいサイズなんかを買っていました。
1999年の春夏に満を持してメンズがスタートすると、ハの字ライダースを筆頭にいろいろ購入し、2000年代初頭までは、ほとんどマルジェラとスロウガン、たまに(コムデギャルソン オム)プリュスしか着ない時期なんていうのもありました。
今のメゾン マルジェラは、アウターでも背面の外側にタグ糸を出しているものが多いんですが、その当時のライン10には、ほぼありませんでした。
そんな中で、このコットンジャケットは珍しく、背面にタグ糸が出ていて興味が湧きました。
気に入ってかなり着まくって、洗いまくったので生地もだいぶ痩せて味が出てしまっていますが、当時は肉厚で、1994年の秋冬のコレクションで発表された『Dolls(ドール)』、人形に着せる服を人の大きさに合わせて再構築したシリーズを思い起こさせるような素材感とフォルムにヤラレて、購入することにしました。
正確には覚えていませんが、ここのえ株式会社のタグが付いているので、恐らく2002〜2004年ごろに買ったものだと思うんですが、色褪せてボロボロになった今でもたまに袖を通しています。
ピークドラペルのダブルは襟を立てて着てもカッコ良かったですし、フォルムはドールシリーズを想起させるものの、あのボリュームに対してメタルボタンは小さいという逆のバランスも面白くて、いまこういう物づくりができるデザイナーは見かけないので、貴重だと思ってます。
これからも着るので、さらに色褪せて傷んでくるとは思いますが、間違いなく一生着続けると思います」。
バーニーズ ニューヨーク クリエイティブサービス部 兼 EC部 アシスタントディレクター
1996年バーニーズ ジャパン入社。新宿店デザイナーズフロア、PR、セールスプロモーションの各マネージャーを経て現在はPR、自社メディア、オンラインストアを統括。インディアンジュエリーに深い造詣を持ち、座右の銘は「インディアンジュエリーは出逢ったときが最安値」。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka