1990年代にウディ・アレンにハマって以来、2タックのチノパンは、40代の僕にとっての大定番。流行っているいないはさておき、常にワードローブの片隅に置いておきたいアイテムなのです。しかし実はこういうモノこそ、意外と流行のアオリを受けやすい。数年前まではセレクトショップはおろか、トラッドブランドに行っても2タックなんて存在しなかったクセに、最近はどこもかしこも2タック。ちょっと節操なさすぎません? しかも超テーパードシルエットだったりして、僕の考えているヤツとはちょっと違うんだな〜。
そんなときに思い出したのが恵比寿のPt.Alfredというお店。90年代後半、雑誌『Begin』に死ぬほど出倒していた頃にちょくちょく伺っていたのですが、もうかれこれ10年は行っていない。まだ店主の本江さんはいらっしゃるかな? お店も随分変わってるんじゃないかな? と心配しつつ伺ったのですが、まさに杞憂!
お店こそ同じビルの1階に移転していたものの、本江さんの佇まいもお店の雰囲気も、あの頃と全く変わっていませんでした! ホワイトハウスコックスのベルトやクオバディスカバーも、フェリージのバッグも、みんなこのお店と『Begin』で知ったんだよな〜、と暫し感慨に浸ってしまいました。
そんなPt.Alfredの売りは、オリジナルのチノパン。そもそもチノパンと、それに合わせる洋品をテーマに掲げてお店を立ち上げただけあって、その品揃えは優に100モデルを超える充実ぶり。しかも嬉しいのは、いつまでも同じモデルを買えること。〝トラッド〟を掲げるお店やブランドであっても、流行に合わせてシルエットを変えていくのは当たり前ですが、ここは型番が増えることがあっても、絶版になることはない。今の2タックブームが終わっても、買い続けることができるのです!
もともとパンツブランドに努めていた本江さんだけあって、クオリティに関しても、もちろん手抜きなし。各モデルにふさわしい工場を選び、生地や縫製にこだわり抜いたチノパンは、そこらへんのインポートブランドものよりも、ずっと高品質です。しかも驚くのは、そんなチノパンが1万6000円+税で買えること! おそらく90年代からほとんど変わっていないように思えますが、今や3万円台のチノパンも珍しくないこのご時世では、心配になってしまうレベルです。
そんな充実した品揃えや、良心的な価格を可能にしているのが、本江さんの人柄でしょう。売れる見込みがない時期でも常に工場に発注し、仕事を絶やさないように努める誠実な仕事ぶりがあっての、このクオリティ。一朝一夕には真似はできません。ちなみにこのお店のチノパン棚は、ちょっと手の届きにくいところにあるのがミソ。それは「お客さんに合ったものを選んであげたい」という、本江さんのホスピタリティの賜物なのです。
今時の恵比寿……いや日本ではもはや珍しくなった、〝町の洋品店〟像を貫き続ける、Pt.Alfred。皆さんも気軽に遊びに行ってくださいね。
恵比寿の洋品店「Pt.Alfred」の動画をチェック!
Text:Eisuke Yamashita
Video:Yoshihide Shoshima
Edit:Takashi Ogiyama
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