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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine

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グレースーツを極めた方程式をセットアップにアレンジ

ようやく緊急事態宣言及び、まん延防止等重点措置が全国的に解除されましたね。今回は本当に長かった……。村西監督ではありませんが、「お待たせしました。お待たせすぎたかもしれません」という気分しかないです(笑)。

もちろん油断は禁物ですが、気兼ねなくおしゃれをして外出を楽しめるようになるのは大歓迎。今回はそんな秋のお出かけにぴったりのセットアップを紹介します!

アイテム
カーディガンジャケット/MOVB
2タックパンツ/MOVB
Tシャツ/以下すべて+CLOTHET
靴/以下すべてWH

ここ10年ほど、グレースーツをビジネススタイルの基本にして、それをとことん突き詰めることに専念してきました。コーディネイトは白シャツ、黒タイ、黒靴と決めて、スーツや靴はより上質な素材でオーダーしてみようとか、着るたびに洗濯が必要なシャツは日常に便利な機能を追求してみようとか、シーズンごとにアップデートしてきたのですが、ようやく自分が理想とする完成形に近づいてきたと思っていた矢先の新型コロナウイルスの感染拡大……。

コロナ以後は、リモートワークが普及したことでスーツを着る機会が激減し、それに代わってセットアップ需要が急増しているそうです。それもそれのはず、仕事の場所が限定されなくなり、ビジネスとカジュアル、スポーツとの境界線が溶け出したいま、求められるのはさまざまなシーンで活用できる汎用性。さらに、コーディネイトに悩まずに済む使い勝手のよさだと思うんです。

僕がディレクターを務める「MOVB(モーヴ)」からこの秋リリースされるセットアップのコレクションは、従来のジャケットとパンツの組み合わせだけではなく、自分なりのセットアップをつくりたいと思ったのが誕生のきっかけでした。スーツの代わりとしてビジネスの場面だけで着るのではなく、共地のコーディネイトの可能性を広げるというか、これは僕なりのセットアップスタイルに対する挑戦なんですよね。

アイテム
カーディガンジャケット/MOVB
ジョガーパンツ/MOVB
サングラス/以下すベてFIXER
時計/MARATHON

生地は高級スーツでもあまり使用されることのない希少なメリノウールSuper140sジャージー素材。コートを含むトップス6型、ボトムス4型を、黒に限りなく近いネイビー1色で展開し、このなかであればどれをどう組み合わせても成立するようにしたのがポイントです。

例えば、気心が知れた取引先とのミーティングにはカーディガンジャケットにウエストにドローコード入りの2タックパンツで臨み、仲間内のスタッフと会うときはボトムスをジョガーパンツにするというのもいいでしょう。

少しあらたまった場面には、テーラードのダブル6ボタンジャケットとシングル2ボタンジャケットも用意しているので、着用シーンに応じたトップスとボトムスを選んでいただければ、時短コーディネイトにもなります。

アイテム
6ボタンテーラードジャケット/MOVB
スリムパンツ/MOVB
メガネ/モスコット

カジュアルが許される職場なら、ちょっと趣向を変えてミリタリージャケットというのも面白いと思います。ディテールに特徴はありますが、基本的なかたちはジャケットなのでそんなに違和感なく合わせられますし、トップスがカジュアルな分、ボトムスを少しドレッシーなタイプを選べばバランスがとれます。

アイテム
ミリタリージャケット/MOVB
1タックパンツ/MOVB

さらに休日仕様にするなら、トップスをライダースブルゾンにするのはいかがでしょうか。個人的には、冒頭のカーディガンジャケットに2タックパンツ、あるいはジョガーパンツがいちばんしたい組み合わせですが、どれもこの秋冬に挑戦したいと思っているスタイルです。まあ、僕のいまの気分をミニマルに表現したのがこのラインナップなので、当然といえば当然なのですが……。

アイテム
ライダースブルゾン/MOVB
1タックパンツ/MOVB

実は、これらのスタイルのイメージソースは1990年代前半のスタイル。最近、自宅にストックしていた当時の雑誌『POPEYE』を見返してみたら、アンコンジャケットにテーパードパンツ、編み上げブーツというスタイル提案があって、それがいま見ても新鮮だったんですよね。オリジナルはドルチェ&ガッバーナやロメオ ジリなどですが、昔はそのものズバリが買えず似たようなものを買って真似ばかりしていました。

だからなのかなあ。自分でつくれるようになったので、いまの時代に再構築していろいろ試してみたくなるんですよね。ミリタリー由来のコンバットブーツもこんな感じだったら普段のスタイルに合わせられるのにとか(笑)。その思いが強過ぎて、かえってフツーの人にとってはどうでもいいようなマニアックな沼に入ってしまうのですが(苦笑)。

エロサバのエロス……。下心はともかくとして、見た目は完全に消しています。でも、それが時代なのかもしれませんね(ちょっと寂しいけれど)。


今回のスタイルのキモは……。

●グレースーツを極めた方程式をセットアップにアレンジ。
●シーンに応じて、どれをどう組み合わせてもオーケー。
●根底にあるのは、90年代のリベンジ。
●ハズしの編み上げブーツはおしゃれに見えるポイント。
●新しい生活様式は、無理せず、油断せず、続けることが大切。


Photo: Ikuo Kubota (OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba


 

8冊目の書籍がダイヤモンド社から発売することになりました。タイトルは『これだけでいい男の服』。

世の中信じられないぐらいの洋服や情報が溢れ過ぎていて何を買ったらいいのか?どう着たらいいのか? よくわからない方もいらっしゃるんじゃないかと……。ということで今回は、僕が考える究極アイテム50とそれを使った春夏秋冬スタイル30をご紹介することにしました。ある意味、干場流服装術の集大成。

いつ誰が見ても参考になるように、着こなしはベーシックに、写真から文章表現まで熟考を重ね、わかりやすく作りました。少ないアイテムで1年間のさまざまな「装い」を網羅しなければいけなかったのでかなり苦労しました。おかげでこの数ヶ月、徹夜続き(涙)。

でも長年ご一緒している信頼出来るスタッフの協力もあって、とても良い本に仕上がりました。掲載しているスタイルは、僕が素敵だと感じる基本スタイルの一部です。ですのでこのスタイルをベースに、自分の個性や色を足したり引いたりしながら、自分のスタイル(型)を築き上げていただければ幸いです。

「お洒落」と「装い」は違います。「お洒落」は、意味も考えずとりあえず洋服を羽織れば成立しますが、「装い」とは、洋服の基本的なことを知り、いつどこに誰と何をするために着ていくのかを考えなければいけません。それぞれのアイテムの由来や基本的な着こなしのルールを知れば、いつ、どんなときに、どんなものを身に着けるべきかを知ることができます。

今、多くの人が知るべきは、ファッション誌に書いてある流行の「お洒落」ではなく、服装の理論に基づいたグローバルに通用する「装い」です。この考えはトレンド好きな女性にも通用するものです。

ハイエンドからファストファッションまで、着尽くしてたどり着いた結論! 年齢や役職に合った服装とは?  投資価値のある服とは? 必要最小限の服で、ビジネスカジュアル・スーツ・私服を網羅した「これだけでいい男の服」。少しでも多くの方々にご高覧いただきお役に立てれば光栄です。ぜひ読んでみて下さい。


「これだけでいい男の服」

(ダイヤモンド社)

【エロサバ】-Hoshipedia

「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。



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