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【レクサス・ES】実は世界で売れてまくっている魅力を検証してみた。

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2021年8月、レクサスのLクラスセダン「ES」が、マイナーチェンジとなった。ESがデビューしたのは1989年のこと。同時にデビューした「LS」と共に、レクサスの販売を支えてきたロングセラーセダンだ。

現行のESは2019年10月に国内デビューした7代目。FFラージセダンならではの高い静粛性と乗り心地の良さ、そして広い室内空間が魅力のモデルだ。そんなESが、今回のマイナーチェンジでどこが変わったのか、詳細を確認していこう。

 

■高級サルーンとして世界的に大ヒット

全長4975mm、全幅1865mmと、フラッグシップのLS(全長5235mm、全幅1900mm)に迫るボディサイズをもつ、ES。FFラージセダンであることから、ESは、居室空間の広さと、FRを凌ぐ静粛性の高さが強みだ。FFの場合、弱点となりがちなプロポーションも、ESに限ってはもはやFRセダンと見間違うほどに、流麗なスタイリングとなっている。

静粛性と乗り心地、広い室内空間、高級サルーンに必要なこの2つは、FRよりも、実は「FF」の方がポテンシャルは高い。現に、ESはこれまで80以上の国や地域で、累計 約278万台も販売されてきた、大人気モデルであり、SUVが世界的に流行している現在においても、レクサスとしては絶対に外せない一台なのだ。

ES300h“version L”の新色ソニックイリジウム 〈オプション装着車〉

そんな中、今回の新型ESは、かなり大々的に改修が加えられている。具体的には、以下の3点。

①フロントグリルやホイール、インテリアなどの意匠を変更、新色のボディカラー2色(ソニックイリジウム、ソニッククロム)追加、インテリアにも新内装色「モーヴ」を追加

②12.3インチセンターモニターのタッチディスプレイ化やレイアウト変更など、使い勝手の向上

③乗り心地やリア安定性の向上、そして最新版の先進予防安全技術の採用

 

■レクサスらしさを更に昇華させるデザイン

エクステリアもダイナミックに変更している。フロントグリルは、メッシュパターンの新意匠となり、よく見ると「Lの字」の集合体で構成されていることが分かる。周囲を縁取るメッキと併せて、レクサスのスピンドルグリルの押出しを一層強調したデザインだ。

「Lの字」の集合体で構成された、新形状のフロントグリル

また、ヘッドランプの意匠も変更された。単眼ランプは新小型ユニットを採用、3眼ランプはアダプティブハイビームシステムを採用した。新しい薄型ランプユニットによって、眼光もより鋭く、そして厳つくなった。

単眼ランプは新小型ユニットを採用、3眼ランプはアダプティブハイビームシステムを採用

足元を飾るホイールにも変更が加えられた。標準仕様のES300hが履く17インチホイールは、スポーク端部を太くして切削光輝加工を施した。また、メーカーオプション設定の18インチホイールは、切削光輝加工と、ダークグレーメタリック塗装のコントラストの多軸スポークを採用している。

ES300h“version L”に施された新しいインテリアカラー「モーヴ」(オプション装着車)

インテリアカラーも、ブラウン系でグレイッシュなトーンの新内装色「モーヴ」を採用し、さらに雰囲気が増したインテリアとなった。

 

■レイアウト変更まで行ったマルチメディアシステム

従来の12.3インチのマルチメディアシステムをタッチディスプレイ化するため、ディスプレイを約100mmドライバーへ近づけつつ、約5度ドライバー側へ傾け、横幅が広い画面の隅まで、ドライバーが届くように変更した。ガラス素材も、視認性の良いものに変更している。また操作スイッチ類は、すべてステアリングホイールの周辺に配置することで、操作性を改善。タッチパッド式のリモートタッチは、従来通りセンターコンソールに残る。

12.3インチのマルチメディアシステムをタッチディスプレイ化するため、ディスプレイを約100mmドライバーへ近づけつつ、角度も約5度傾け、横幅が広い画面の隅まで、ドライバーが操作できるように変更

このような、電子アイテムのレイアウト変更は、内装のトリム部品の素材を変更するのとは違い、配線関連をやり直す必要があるため、かなり労力が必要となる。こうしたあたりからも、レクサスならではの丁寧な仕事ぶりが感じ取れる。

オーナメント加飾には、ウォールナット素材を使い、新開発の「墨ブラック」と「ダークブラウン」を採用した。ヘアラインの加飾は、レーザーで一本ずつ彫る加工を施す、というこだわりぶりだ

 

■リアサスサブフレーム補強で、乗り心地やハンドリングを改善

サスペンションに関しては、リアサスペンションのサブフレーム(サスペンションリンクを取り付けているフレーム)を1枚板から2枚板へとの構造を見直し、剛性を向上させたことで、乗り心地やリアの安定性を改善。また、「F SPORT」には、新型アクチュエーターを用いた最新鋭のリニアソレノイド式AVSを採用、オイル流量制御バルブの流路を拡大し、低減衰力(乗り心地が向上)から、高減衰(車両の安定性が向上)まで、減衰力の可変幅を拡大した。

他にも、電子制御ブレーキシステムの制御定数を変更し、ブレーキのコントロール性を向上。また、ブレーキペダルのパッド形状を変更し、足の裏との接触範囲を拡大させている。ブレーキペダルの横方向の剛性も対策し、高い剛性感のあるフィーリングになったそうだ。

さらには、先進運転支援システムもアップデートした。従来のLexus Safety System +に採用している「単眼カメラ+ミリ波レーダー」はそのままに、緊急時操舵支援などの機能追加、車線認識性能の向上を行った。また、運転支援時には、ドライバーにとって自然に感じられ、なおかつ安心感のある車両挙動となるよう、プログラムの更新も行われたそうだ。

リアサスペンションのサブフレーム剛性向上など、地道な改善によって、乗り心地やリア安定性が向上している

また、デジタルアウターミラー、デジタルインナーミラーともにカメラをアップデートし、LEDのちらつきを大幅に低減、かつ、画質を向上させるなど、アップデートは多岐にわたり、マイナーチェンジではあるものの、適所にメスをいれたことで、最先端のセダンへと、大幅にブラッシュアップされている。

 

■車両価格は599万円から

税込の車両本体価格は、標準仕様のES300hが599万円、19インチタイヤホイールや専用デザインのエクステリアパーツを備えたスポーティモデルの「F SPORT」は651万円、そして、アダプティブハイビームシステム、三眼フルLEDヘッドランプ(ロー・ハイビーム)& LEDターンシグナルランプ、ヘッドアップディスプレイ、後席電動リクライニング機能などが備わる豪華仕様の「Version L」は715万円となる。いずれもFFの2WDで、パワートレインは2.5Lの直4ガソリンエンジン+ハイブリッドは共通だ。

ボディサイズが近く、同じパワートレインを積むトヨタカムリは、348.5万円~447.4万円(2WD)と、150万円以上もESの方が高い。だが、日本で購入できるメルセデスEクラスやBMW5シリーズ、アウディA6あたりと比べれば、エントリー価格自体はリーズナブルであり、GS無き今、LSでは余りがあり、ISでは小さすぎるといった、アッパーミドルサルーンが欲しい方にとっては、ESはジャストサイズであり、今作も大ヒットモデルとなるだろう。

レクサスといえば、この6月には、新型NXを発表しており、近いうちに新型LXも登場するとされている。セダン人気が衰退しているなかで、この新型ESがどこまで販売に貢献できるのか、今後が非常に楽しみだ。

車両本体価格(税込)ES300h(標準仕様) 599万円、ES300h “version L” 715万円、ES300h “F SPORT” 651万円

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:LEXUS
Edit:Takashi Ogiyama

レクサスESの公式サイトはこちら



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