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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION 僕が捨てなかった服

かつてジル サンダーのデニムを手掛けたデザイナーが、特注で作ってくれた思い出のジャケット!

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

パターンを引き直し、イニシャルまで入れて頂いたので、絶対に手放すことはありません!

バーニーズ ニューヨークの顔的存在として、PRや自社メディア、オンラインストアを統括する中野光章さん。インディアンジュエリーに対する造詣が深いのは業界内外でも有名で、数多の名作を備えています。

ファッションにおいても、モードにとどまらず、古着、ストリート、はたまたアルティザンまで幅広いジャンルに精通する中野さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第7回目は、スロウガン(SLOWGUN)の特注ジャケットです。

「もし『一番好きなファッションブランドは?』と聞かれたら、迷わず答えるのがスロウガン。現オーベルジュ(AUBERGE)です。

デザイナーの小林 学さんを勝手にファッションの師匠だと思っています。

思い返せば、1998年ジル サンダーのメンズがスタートしたとき、3万3000円でリリースしたデニムがセンセーショナル過ぎて 巷を騒がせました。それが日本製だったので、誰が手掛けてるのか調べてみたら、当時岡山の工場で企画生産を担当していた小林さんだったんです。

後に独立なさってスロウガンを立ち上げたという噂を聞きつけたので、紹介して貰って当時のバイヤーに繋いだ結果、バイイングすることになりバーニーズ ニューヨークでの展開もスタート。

自分で見出して買い付けることになったから、売らなくてはの一心で頑張ったら、セールを待たずにほぼ完売しました。

そんなこんなで関係性も深まり、休みを使ってご夫妻のパリ旅行に付いて行って、ファッションだけでなく家具やカルチャーなどフレンチに関するあらゆることを教えて貰って、影響も受けまくり。公私共にお世話になっています。

それで、このスクールジャケットはネクタイ地で作った小林さん渾身の一着だったのですが、バーニーズ ニューヨークでの買い付けもなく、さらにインラインのサイズでは私の大きな身体では入らず…。

それでも諦めきれずにいたら、小林さんが『中野さんサイズで作ってあげる』と言って、僕が着ていたジャケットのサイズ感なんかを見てチェックしながらパターンを引き直し、独自のバランスで修正。なんと特注で作ってくださった、思い出の一着です。

なので、タグのサイズ表記部分には、私のイニシャル"M.N"入っています。

小林さんが愛用している「H」のブックル セリエ(Boucle Sellier)の喜平チェーンを並べたような柄の裏地も洒落てます。

パターンまで引いて、特注で作って頂いた思い出のジャケットで、イニシャルまで入っているんですから、絶対に手離すことはありませんね」。

中野光章
バーニーズ ニューヨーク クリエイティブサービス部 兼 EC部 アシスタントディレクター

1996年バーニーズ ジャパン入社。新宿店デザイナーズフロア、PR、セールスプロモーションの各マネージャーを経て現在はPR、自社メディア、オンラインストアを統括。インディアンジュエリーに深い造詣を持ち、座右の銘は「インディアンジュエリーは出逢ったときが最安値」。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka



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