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FASHION 僕が捨てなかった服

ターコイズのインディアンジュエリー。ハマるきっかけとなった記念のリング。

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

今では小寺康友さん作のリングしか着けなくなりました!

バーニーズ ニューヨークの顔的存在として、PRや自社メディア、オンラインストアを統括する中野光章さん。インディアンジュエリーに対する造詣が深いのは業界内外でも有名で、数多の名作を備えています。

ファッションにおいても、モードにとどまらず、古着、ストリート、はたまたアルティザンまで幅広いジャンルに精通する中野さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第3回目は、ネバダ州レッドマウンテンターコイズをセットした小寺康友さん作のリングです

「今でもドップリとハマっているインディアンジュエリーとの出逢いは、社会人1年目の頃。高校時代のラグビー部の先輩が、現在は上野センタービルのみにお店を構える『スラブ(slob nest)』で働いていて、たまたま会ったときに彼が着けていたリングが滅茶苦茶カッコ良かったんです。

どこのか尋ねると、ディッキー・クアンデラシー(Dickie Quandelacy)というズニ族の作家だと教えて貰ったので自分も欲しい旨を伝えると、"オーダーするから1年くらい待て"と言われて。

なんでそんなに待つのか疑問を投げかけたら、"彼らは農耕民族で畑を耕していない雨の日にしか作らないから"と。とりあえず納得して待つと、9ヵ月ぐらいで仕上がってきたんですが、先輩と同じ石「ゴールドマザーリップ」で頼んだのに、僕の方がシャープでカッコ良かったんです。

なぜこんなに違うのか聞いてみると、"台座から何からすべて手作業で作ってるから、一個一個個体差があるんだ"と言われ、その言葉に完全に胸を撃ち抜かれました。

それまではインダストリアルというか、ブランド発信で、どれも同じように作られたものが好きだったんですが、手で作られたひとつひとつ異なる作品を持つ喜びに目覚めてしまいました。

そこからインディアンジュエリーにドップリとハマってしまい、それしか頭になかった狭い視野を広げてくれたのが、このネバダ州レッドマウンテンターコイズをセットした小寺さん作のリングです。

最初はインディアンの作家ものにしか興味が湧かず、小寺康友さんが代表をつとめる軽井沢のスカイストーン・トレーディングへはセレクトしたインディアンジュエリーが目的で通っていたんですが、当時私が好きだったレッドマウンテンのこのリングを「中野さんぽいなと思って」と見せて頂いたときに衝撃を受けて。

ターコイズのスペシャリストである小寺さんが、"もっとこうだったらいいのに"という思いから自身で制作をはじめたリングの存在感あるデザインに完全にやられたんです。

普段着けているローンマウンテンのターコイズは塊で採れるので、ぎゅっと密集していて厚みもあって硬いんですが、レッドマウンテンはベインと呼ばれる脈状で採れる石なので石自体は硬くても端から欠けたり、痩せたりしてくるんです。

そういったデメリットなどもきちんと説明して頂けたことにも納得して購入し、それからは痩せてしまった端の部分をメンテナンスして頂いたりしながら大切に着けていました。

この出逢いから、「スカイストーン・トレーディング」の小寺康友さんがインディアンジュエリーとターコイズの師匠というかアニキのような存在となり、今ではすっかりリングは小寺さん作のものしか身につけなくなり、私の名刺代わりとなりました。その記念の1つ目ですね。

今ではもっとイイ石が買えて、他のものを着ける機会が多いので、たまに着けるだけになりましたが、一生大切にし続けるリングです」。

中野光章
バーニーズ ニューヨーク クリエイティブサービス部 兼 EC部 アシスタントディレクター

1996年バーニーズ ジャパン入社。新宿店デザイナーズフロア、PR、セールスプロモーションの各マネージャーを経て現在はPR、自社メディア、オンラインストアを統括。インディアンジュエリーに深い造詣を持ち、座右の銘は「インディアンジュエリーは出逢ったときが最安値」。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka



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