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【ハイブリッド車の燃費をより良く】エンジンに負担をかけない5つのエコ運転術

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

クルマは、運転の仕方によって燃費が大きく左右され、乱暴なアクセル操作をしないことが、燃費改善につながることは良く知られています。しかしこれは、一般的なガソリン車の場合。エンジンとモーターの両方を動力源とするハイブリッド車(HV)だと、燃費に良い運転方法はちょっと変わってきます。

HVは、なぜ燃費が良いのかを知ることで、どのような運転をすれば燃費が良くなるかが分かるはず。ガソリン車とは異なるHVの燃費を良くするアクセルワーク術について、ご紹介します。

 

■HVで燃費を良くする運転のコツ

そもそもハイブリッド車(HV)は、なぜ燃費が良いのか。その答えは、「回生ブレーキを使って、そのエネルギーを利用してモーターを動かすから」です。回生ブレーキによって、駆動バッテリーの電力容量を常時規定量以上確保しながら、モーターとエンジンを協調して働かせています。

HVで採用している回生ブレーキは、通常の油圧式ブレーキでブレーキパッドの熱として捨てている回転エネルギーを発電機で電気エネルギーに変換して、回収(バッテリーを充電)する手法です。モーターを発電機として作動させながら、一方で発電するときに発生する回転抵抗をブレーキ力として利用する、まさに「一石二鳥」というわけです。

したがって、HVの燃費をさらに良くするためには、できるだけ回生ブレーキができる運転と、エンジンをかけずにモーターで走行する運転に心がけることが、ポイントです。具体的には、以下がお薦めです。

1.発進加速は、エンジンを起動させずスムーズに
発進加速では、エンジンが起動しないギリギリのスムーズな加速を心がけるのが効果的です。加速後に目標車速になったら、エンジンが起動していれば一旦アクセルを軽く戻します。駆動バッテリーに余裕があれば、アクセルを戻すとエンジンは停止します。エンジンが止まったら、静かにアクセルを踏んでモーター走行を続けます。

発進加速では、エンジンが起動しないギリギリのスムーズな加速を心がけるのが効果的

2.一般路は、急な加減速を避けて減速は早めに長く
先々の信号や車両を注視して、ブレーキを早めに踏んで極力長く回生ブレーキを効かすと、より多くの回生量が得られます。ブレーキペダルを強めに踏んでしまうと、通常の油圧式ブレーキが主体になるので、ふんわりブレーキが好ましいのです。

回生ブレーキは通常の油圧式ブレーキより弱く、しかもドライバーがその大きさを調整できません。そのため、回生ブレーキは、ブレーキの踏力を検知して油圧式ブレーキとバランスを取りながら要求ブレーキ力を実現する協調制御を行います。ちなみに、急ブレーキング時は、安全を考慮して油圧ブレーキが主体で作動するようになっています。

協調回生ブレーキシステムの制御例。燃費改善のために回生ブレーキを活用するが、停止直前は油圧ブレーキが主体となる

3.高速運転では、車速を必要以上に上げない
高速走行では、定速走行になることが多く、HVのメリットはほとんどありません。かつて、HVは重い上に低燃費/低出力のエンジンを搭載するのが主流だったので、高速燃費が悪い傾向にありました。最近は、解決されつつありますが、やはり車速は上げ過ぎない方が燃費のためには良いです。

例えば、世界一燃費の良いトヨタヤリスの場合、WLTCモード燃費は、高速モードの時の方が、市街地モードや郊外モードよりも燃費は悪くなります。走行している高速道路の特徴(起伏など)にもよりますが、平坦な高速道路の場合、おおよそ70~80km/hで走るのが最も燃費が伸び、それ以上は車速を上げるほど燃費は悪化します。

とはいえ、さすがに高速道路を80km/hで走行するのは厳しいため、流れに乗って、周囲に迷惑をかけない極力低い車速で走行するのがお薦めです。

4.登り坂は、手前で早めに加速
登り始めてアクセルを強く踏み込むのではなく、あらかじめ助走して加速した勢いで登り切る方が得策です。なぜなら、坂道で車速の低下が大きくなれば、それだけアクセルの踏む込み量が増えてしまうからです。自転車で坂道を上るのと同じで、手前から強く助走したほうが、必要となるエネルギーが少なくて済むのと原理は同じです。

登り坂ではあらかじめ助走して加速した勢いで登り切る方が得策

5.下り坂のBレンジは、エンジンブレーキは効くが、燃費改善に効くかどうかは制御しだい
ガソリン車の場合、下り坂ではDレンジからセカンドレンジなどに入れ、エンジンブレーキを効かせて走った方が燃費は伸びます。しかし、HVの場合は、そうとも言えない場合があります。DレンジからBレンジに切り替えて強いエンジンブレーキを効かすことはできても、燃費改善に直結するかは、HV制御によります。

回生ブレーキのし過ぎによるバッテリーの過充電を防ぐため、ガソリンを使ってエンジンを回すシステムもあるからです。Bレンジでの下り坂走行が、燃費に効果的かどうかは、メーカーの取説等で確認することができます。

 

■エネルギーフローモニターで運転状態を学習し、エコ運転を習得

ほとんどのHVには、エネルギーフローをリアルタイムで認識できるモニターが装備されています。どのような走り方でエンジンやモーターが起動/停止するのか、回生ブレーキが働くのか、駆動バッテリーに充電しているかなどが、一目瞭然です。これにより、燃費の良い走り方、アクセルワークを学習して実践することができます。

 スバルXVハイブリッドのエネルギーフローモニターの例。ほとんどのハイブリッド車には、こうした絵を出すことができます。

 

■まとめ

せっかくHVに乗りながらそのメリットを生かさないのは「宝の持ち腐れ」。燃費の良いハイブリッド車は、運転の仕方に留意するだけで、更に良い燃費が実現できます。ただし、周囲の状況を無視して燃費にこだわり過ぎると、「エコ運転」でなく、「エゴ運転」になるので、くれぐれも注意してください。

Text:Mr.Soran
Photo:AC,Toyota,Subaru,AdobeStock
Edit:Takashi Ogiyama



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