ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

【ホンダ・プレリュード】伝説のデートカー。オジさん感泣の名車の懐かしアルバム。

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

デートカーの異名をもつスペシャリティクーペ

コロナ禍で揺れた2021年の夏が終わろうとしています。この8月にアップロードした記事のなかで、想像以上の反響を呼んだのがアキュラ・インテグラでした。鳴り物入りでプロダクト仕様のフェアレディZが発表されましたが、意外にもそのPV上昇率は瞬間湯沸かし器。スポーツカー好きとしては少し残念な思いがしました。

さて、ホンダがインテグラを再び日本市場に投入するのか? という問題を別とすれば、もうひとつ復活が望まれるモデルがあります。1980年代後半から1990年代にデートカーとして一大旋風を巻き起こした『PRELUDE』というスペシャリティカーです。

プレリュードの歴史はインテグラより深く、初代モデルは1978年11月にデビューしました。一方、初代インテグラは1985年2月19日のデビューなので、1ゼネレーションは軽く差があるモデルということになります。

記憶を辿るように当時のプレスリリースを読み返すと、プロローグとして記載された「プレリュードの開発にあたって」という冒頭の部分に目が止まります。引用してみましょう。

"ホンダは、つねに「人とクルマのあるべき姿」を求め続け、提案してきました。

シビックは、さまざまな使われ方に柔軟な対応を示し、諸要素を総合的にバランスさせた「ベーシックカー」として、
アコードは、乗る人たちに「ゆとり」を、そしてとりまく環境と「調和」するクルマとして、
いずれも、各方面から高い評価をいただき、広く世界の人々に受けいれられてきました。

そしていま、ホンダは《もう一つの主張あるクルマ》を新たに提案します。 それは、スペシャル・プライベート・カーです。
個性化時代にあって多様化する価値観、クルマにも「個性的なもの」が求められています。
ホンダは、パーソナルライフを大切にしたい、知的で個性的でありたい――と望む人々のために、誇りをもってお乗りいただける品格あるクルマ〈プレリュード〉をここに開発しました。"

受け取る思いは様々でしょうから、あらためて歴代モデルを振り返ってみましょう。思い出あるあるな方は既にR50世代でしょうが、プレリュードというモデルはホンダ初のプレミアムカーといって過言ではなさそうです。

初代プレリュードは1978年11月に誕生しました。ボディタイプは2ドア・フィックストクーペ。基本的にはパーソナルユースに対応した2+2の乗車定員で後部にはトランクルームがあります。当時の思い出はスピードメーターのなかにタコメータもあるインパネが斬新過ぎる! と感じたこと。

ホンダにとってロングノーズなプロポーションは冒険だったのかもしれませんが、スカイラインやフェアレディZ好きにはごく普通なバランスに見えたかもしれません。ただし、1980年1月9日にガラス製サンルーフ仕様が追加され、スペシャリティ色を打ち出していきます。

当時のエンジンは副燃焼室をもつCVCCエンジンでした。排気量は1.75Lで90ps(ATは85ps)。ボディサイズは全長4090×全幅1635×全高1290mm。いまこそ、こんなサイズ感のパーソナルクーペが欲しくなります。

2代目モデルは1982年11月にデビュー。リトラクタブル方式のヘッドライトを採用し、ホンダ自身もスペシャリティカー色を前面に打ち出していきます。ワイド&ローを強調したデザインは、ボディサイズそのものを拡大させ全長4295×全幅1690×全高1295mmという大きさに。1985年6月20日には2.0LのDOHCエンジン(最高出力160ps)を搭載した追加グレード『Si』を投入。ホンダらしさが加速します。

ホンダらしいひと工夫は、助手席のリクライニングレバーを左右に設置した点です。2ドアクーペゆえに利便性を追求したのでしょうが、コレが送りオオカミには大変重宝されました。デートカーの異名を拝命した時代の人気モデルです。ガングリップタイプのシフトノブ(AT)がインパクト大!

3代目モデルは1987年4月にデビュー。時代背景は、プラザ合意→変動相場制→バブルへと流れ、一億総中流なんて言葉も飛び出します。リリース時の大見出しは「世界初 舵角応動タイプ ホンダ4輪操舵システム搭載のFFスペシャルティカー」というもの。テレビCMもイケイケで今でもナレーション時のBGMが耳に残ります。

基本的にフォルムの印象は変わりませんが、全長が165mm伸びてボディサイズが全長4460×全幅1695×全高1295mmとなり、洗練されたデザインと相まって存在感が際立ちます。技術的には前出の4WS機構、新世代4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションを投入し新次元の走りを目指しています。

1989年11月21日にMCのタイミングで固定式ヘッドライトを採用したシブ過ぎる派生モデル『プレリュード inx(インクス)』を追加。また、トラクションコントロールも装備されました。

バブルがピークへと向かうなか、1991年9月に4代目がデビューします。デザイン上はリトラクタブルヘッドライトが廃止された3ナンバー専用ボディとして開発。そのサイズは全長4440×全幅1765×全高1290mmとワイド化が顕著となりました。

エレガントさを失ったデザインは賛否が分かれる部分ですが、逆にスポーティで精悍な印象の4代目は先鋭化するライバル車を見据えての判断だったかもしれません。搭載するエンジンも排気量を2.2Lへと拡大。上級モデルはVTEC機構を備え最高出200psを発生しました。

1996年11月、最終モデルとなる5代目がデビューします。デザインは一転してプレミアムな方向へと路線変更。大人のスペシャリティクーペとして生まれ変わります。2.2Lエンジンの出力は『タイプS』でリッターあたり100sを達成し最高出力220psを獲得。ホンダらしい走りの部分は実直に磨かれていきます。

1998年9月24日。さらに走りを追求した『Sir・Sスペック』を追加。LSDを標準採用しマニア注目の1台となります。当時の価格は249万3000円。トランスミッションは5速MTのみ設定されていました。時代はバブル崩壊が徐々に始まり、プレリュードは2001年に終売に。この頃、同社のスーパースポーツ『NSX』も既に下火でしたのでやむを得ない判断となりました。

ホンダがアキュラブランドのインテグラを日本へ導入するか? いまは期待感ばかり膨らみますが、実際に右ハンドル仕様の生産ラインを日本に作る可能性は低いと思います。度々復活がウワサされるスペシャリティカーのプレリュードもまた同様。いまはこのポジションにあたるSUVやEVを作らねばならぬ時代です。今後の展開に期待するしかありません。

Text:Seiichi Norishige

ホンダ・プレリュード



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5