2020年の乗用車販売台数ランキングで、1位のトヨタヤリス(15万1766台)を脅かす勢いを見せた、2位のトヨタライズ(12万6038台)。ライズの月販目標は4100台。2019年10月に発売開始されてから、すでに1年10ヶ月が経過しているが、2021年6月は6700台、7月は7500台と、その勢いはいまも衰えていない。
ライズは何がよくてこれほどまでに売れているのか。ライズ爆売れの理由を考察していく。
■ライズの最大の魅力は「良品廉価」
ご存じの方は多いかと思うが、ライズはダイハツ「ロッキー」のOEM車だ。開発はダイハツが主導で行われたモデルであるため、本稿では当モデルをロッキー/ライズとよぶ。
角ばったデザインや、ボディサイズに対しては大きめなタイヤ、5ナンバーサイズとは思えないエクステリアはまるで「小さなRAV4」といった雰囲気であり、使い勝手も良く、インテリアも上手くまとめられている。
視界が良くて運転もしやすい。排気量1リッターターボエンジンとは思えないほどにトルク感があり、発進時にはそれなりに強い加速が得られる。そして税込176万円~228万円という低価格。ロッキー/ライズは、十分満足できる内容で価格が安い、まさに「良品廉価」なのだ。
■日本人のため、守られた5ナンバーサイズ
衝突安全性能を高めるため、昨今のクルマはボディサイズが大きく、コンパクトカーでさえ全幅1700ミリを超えてしまう昨今、ロッキー/ライズは全幅1695ミリと、5ナンバー枠に収めている。ヤリスクロスや、日産キックスなど、グローバルで販売するクルマとなると、どうしても海外需要に従って、大型化してしまう。ロッキー/ライズが5ナンバーサイズを守ることができたのは、ロッキー/ライズが日本専売車として作られたためだ。
ロッキー/ライズの衝突安全性が低いというわけでは決してない。JNCAPで最高ランクのファイブスターを獲得しており、安全性能は太鼓判を押されている。これだけコンパクトに仕上がったのは、車室内のスペースを計算し、極限までパッケージングにこだわった、ダイハツの技術力の賜物だ。
■プラモデルを組み上げるような感覚で、好みの仕様にカスタマイズも
また、ボディカラーが多彩にあり、遊び心が取り入れられていることもポイント高い。ディーラーオプションで、カスタマイズパーツも多く出ている。モデリスタのエアロキットが2種類(ADVANCE BLAST STYLE 税込17万2700円(※塗装済)と、ELEGANT ICE STYLE 税込12万1000円)、TRD(Aggressive Style、税込16万5000円)に加え、パワフルスタイル、スポーティスタイル、プレミアムスタイルといったカスタマイズの楽しみを得られる。
フロント、サイド、リアバンパーのスポイラーセットが多いが、グリルやガーニッシュ、LEDフォグといったパーツも豊富にある。まるで、プラモデルを組み上げるような感覚で、好みの仕様を作り込めるのは、クルマ好きにとって大変楽しめるポイントではないだろうか。車両本体価格がリーズナブルな分、こうしたカスタムパーツに予算を振り分けて楽しめるのも、このモデルの魅力であろう。
■まとめ
ロッキー/ライズにも弱点がないわけではない。乗り心地や静粛性はさすがに100点とはいえないし、走りにもあと少ししっかり感が欲しい、と筆者は感じる。しかし、ロッキー/ライズは、これでいいのだ。
すべての性能をパーフェクトにした姿でなくても、十分に楽しめるクルマだからだ。SUVの力強い雰囲気を、ちょうどよい価格とサイズ感で。この「ちょうどいい」を実現することができたことが、ロッキー/ライズの最大の勝因であろう。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Toyota
Edit:Takashi Ogiyama