シリーズ3に突入した進化系マカンが登場!
ポルシェのエントリーSUV、マカンの新型が発表されました。ついにフルモデルチェンジでEVに! と思ったものの、一見した感じはエクステリアに変化なし。どうやら現行型エンジン搭載モデルがシリーズ3へとアップデートされました。
現状、日本仕様の詳細はわかりませんが、
【2021年上半期出荷台数】
●Worldwide 116,964台→153,656台(+31%)
●Europe 32,312台→40,435台(+25%)
・Germany 10,702台→13,094台(+22%)
●America 29,102台→44,023台(+51%)
・US 24,186台→36,326台(+50%)
●Asia-Pacific, Africa and Middle East 55,550台→69,198台(+25%)
・China 39,603台→48,654台(+23%)
※2020年→2021年(前年対比)
日本における上半期の業績を日本自動車輸入組合(JAIA)のデータで確認すれば、2020年が3,766台で今季が3,924台を売り上げ(登録ベース)前年対比104.2%を達成。昨今の半導体不足による生産調整を加味しても、日本の実体経済は諸外国に比べ下降気味。政治手腕が問われます。
ポルシェのモデル別人気ランキングも見ておきましょう。中国では911や718系の2ドアスポーツがブレーク中で前年比83%を記録したとか。全体像を俯瞰すれば、カイエンやマカンといったSUVが半数以上。ブランドのアイコンである911が3番手ですが数的にはBEVのタイカンといい勝負。そのタイカンは生産上の兼ね合いか、若干数字を落としましたが出荷ベースは横ばいという感じです。
【2021年上半期モデル別ランキング】
1.Cayenne 44,050台(+12%)
2.Macan 43,618台(+27%)
3.911 20,611台(+22%)
4.Taycan 19,822台(▲)
5.718 Boxster & 718 Cayman 11,922台(+33%)
6.Panamera 13,633台(+6%)
現行型マカンは2014年に発売を開始。既に7年を経過しましたが、それでもカイエンとトップを競うのですから人気車に変わりはありません。そして今回、大幅リフレッシュで2022年度を迎えるのですから上半期のデータを上回ることが期待されます。
では、新型マカンのモデル構成とスペックを見てみましょう。詳細な装備やディメンション、価格の発表はこれからですが、気になるパフォーマンスは判明しています。全車PDK+全輪駆動の採用は現行型と変わりはありません。
●マカンGTS(2.9V6ツインターボ)
最高出力:280kW(380ps)→324kW(440ps)/+44kW(60ps)
0-100km/h:4.9s→4.3s
最高速度:261km/h→272km/h
※スポーツクロノパッケージ装着車
欧州価格:88,264ユーロ
シリーズ3のマカンは『ターボ』が廃止されました。しかし、スペックを見る限り『ターボ』を若干上回るので、この『ターボ』を改善し『GTS』とした置き換えた模様です。ターボ比では最高出力で数値上並び、0-100km/h加速で0.2秒、最高速度で2km/h上まわります。また、標準採用のエアサスペンションは、フロント10%、リア15%アクスル剛性が向上しています(車高は10mmダウン)。
●マカンS(2.9V6ツインターボ)
最高出力:260kW(354ps)→280kW(380ps)/+20kW(26ps)
0-100km/h:5.3s→4.6s
最高速度:254km/h→259km/h
欧州価格:71,723ユーロ
スペック的には現行モデルの『GTS』同様。しかし、モデル名は『S』と置き換えられています。そして、3.0V6シングルターボエンジンは廃止。つまり、2.9V6のハイプレッシャー仕様が『GTS』、ロープレッシャー仕様が『S』という位置付けです。
●マカン(2.0直4ターボ)
最高出力:180kW(245ps)→195kW(265ps)/+20kW(26ps)
0-100km/h:6.7s→6.2s
最高速度:225km/h→232km/h
欧州価格:62,917ユーロ
マカンのエントリーモデルである2.0直4ターボ搭載車は純粋にパワーアップしています。それを考慮すると価格上昇は否めません。将来的に次世代モデルはBEVになることが公にされているマカンですが、買いのポイントはどこにあるのでしょうか。
まず相対評価ですが、ベテランの誰もが口にするのは「ポルシェらしさはカイエンより上手」ということ。私自身乗ってみてもバンパーの先端まで毛細血管が伸びている、と感じるのはじつはマカンのほう。兄貴分のカイエンがGTなら、マカンの味付けはスポーツカーのベクトル。
で、あくまで個人的評価としますが、BSGやISGなどを使いMHEV(マイルドハイブリッド)としなかった点がマカンの魅力です。じつはこの手のモデルに採用される48Vのリチウムイオン電池やそのシステム、電池劣化やシステム上のトラブルが発生すると、腰を抜かすほどお金がかかるのです。
どんなに複雑なシステムを採用しようとも、新車で買って3年乗るなら保証の範囲です。しかし、これらの電動化モデルを中古車で買う方は要注意です。最低でもバッテリーの価格、保証の範囲を調べてから検討に入るようにしてください。
Text:Seiichi Norishige