貰ったのは嬉しかったんですが、まったく使えていません…
編集長干場が、お洒落だけにとどまらず、どんな所作が美しいのか、色気とは何か、男の美学とは何かなどについて教えを乞い、"人生の師匠"と公言するビームスの無藤和彦さん。
現在は、ブリッラ ペル イル グストのディレクターを務め、50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でかっこ良いスタイリングを意識しながら商品ディレクションに携わる無藤さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第10回目は、マーロ(MALO)のカシミアの湯たんぽです。
「何のきっかけだったのかは、あまり覚えていないんですが…、マーロの方に頂いたカシミアの湯たんぽです。
たしか展示会だかのときに目について、"これ何ですか?"と尋ねたら、"湯たんぽなんですけど、持っていきます?"くらいの軽い感じで頂戴してしまったような。
貰ったのは嬉しかったですが、全然使えなくて。いまだにタグ付き、ビニールに入れられたままの状態でしまってあります。
湯たんぽ自体を使う機会もないし、しかも外装はカシミア。ただのカシミアだとしても抵抗ありそうなのに、それがマーロのカシミアだなんて、恐れ多くて使えません。
足をのせたら暖かいでしょうし、マーロのカシミアですから肌触りも最高なんでしょうけど……。
ものは素晴らしいので、もし売っていたとしたら相当に高額でしょうから譲るにしてもお互い抵抗ありそうですし、捨てるなんて もっての外。他に使い道でもあればと思うんですか、まったく思いつかず……。
歳を重ね、床に伏すようにでもなったら使えば良いのかもしれませんが、それでも使えなそうです。
きっとこのままの状態で、ずっとしまったまま時を重ねていく気がしますね。
ブリッラ ペル イル グスト(Brilla per il gusto) レーベルディレクター
無藤和彦
21歳でビームス入社。渋谷の店舗でキャリアをスタートし、1992年にドレス部門のバイヤー、2003年には遊び心のある大人に向けたレーベル「ブリッラ ペル イル グスト」のディレクターに就任。50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でかっこ良いスタイリングを意識しながら、商品ディレクションに生かす。1965年東京生まれ。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka