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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

【処女作】砂漠を走る超絶カッコイイポルシェ。衝撃の正体とは?

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説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

新世代ゲンバラが放つ新時代のスーパーカー

砂漠を走る見慣れぬポルシェ911。このスペシャルなモデルが何者であるかは別として、この美しさはたとえようがない。やはり911には時代を超越したエレガンスがあるのでしょう。ブツヨクをそそります。

じつはこのクルマ、ドイツのポルシェチューナーだったウーヴェ・ゲンバラ(2010年没)の息子さん、マーク・フィリップ・ゲンバラが立ち上げた『Marc Philipp Gemballa GmbH』の処女作、『Marsien』(以下、マルシエン)なのです。車名の由来はフランス語の『Martian』(火星人)が起源であり、UAEの砂丘(赤い色をしています)の名前でもあります。

同社の公式HPには『The ultimate adventure sportscar』のキャッチコピーが並びます。かつてパリ・ダカールラリーを駆け抜けたポルシェ959からインスピレーションを得たというこのモデル。そのベースモデルは911ターボSだといいます。

「プロジェクトサンドボックス」として公表した後、秘密裏に開発が進められていたマルシエン。当初は昨年のジュネーブショーで披露されるはずでしたが、昨今の情勢もありイキナリのデビューとなりました。

デザインは2018年にルノーのシニアエクステリアデザイナーに就任したアラン・デロシエ。彼は根っからのポルシェフリークで、2015年にポルシェ908-04プロジェクト(仮想車)を手掛けています。

実際のボディワークはF1グレードのカーボンファイバー製で、レース車両やプロトタイプカー、航空機などの特殊分野で実績のあるKLKモータースポーツが担当。サスペンションは911GT3同様にフロントをダブルウィッシュボーン式に変更。システム自体はKWオートモーティブが担当しました。ちなみにオフロードに対応するため、最低地上高はロードモードの120mmから最大250mmまでリフトアップ可能です。

サスペンションに関してはオフロードパケージ(オプション)も用意されコチラは固定式となりますが、さらにリフトしたデザート仕様が用意されます。

エンジンは父親の代から親交のあるRUF(ルーフ)が担当。標準仕様でノーマル911ターボS比90hpアップの最高出力750hp、最大トルクは130Nmアップの930Nmを発生。さらにエキストラを支払えば最高出力930hp仕様も用意されます(ともにVTGタービン)。エキゾーストシステムはレース界のエキスパート、アクラボビッチが担当します。ちなみにオンロードでの最高速度は330km/h、オフロードは210km/hでリミッターが作動します。

トランスミッションはPDKを強化し使用。コレはカイエンのものを転用するとか。ドライブモードは通常のポルシェ標準(ノーマル、インディビジュアル、スポーツ、スポーツプラス)に加え、オフロードに対応したモード(砂利、泥、砂、雪)を備えます。

とにかくマルシエンはほぼビスポークモデルなので、LEDのリアコンビネーションレンズさえデザインの変更が可能だといいます(GERG Lighthouse製)。インテリアはあくまで参考程度といった感じでレザーやアルカンターラなど応相談といった構えです。標準価格は車両持ち込みで495,000ユーロ。

幼少期からスーパースポーツカーに囲まれ、EBSビジネススクールを経て、アストンマーティン、メルセデス・ベンツ、ポルシェを経て27歳で起業したマークの才能とその人望は計り知れません。父が創業したゲンバラとは一切繋がりなく、馬力やスピードといった旧来のパフォーマンスにこだわらず、新たな価値を創造すべきだと理念を語るのも魅力です。

最新アップデート情報は同社の公式HP、インスタグラム(2020年3月7日開設)でチェックを。また、走行シーンは公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。限定40台のマルシエンは既に10台の発注を受け上々のスタートを切りました。

「黄昏の砂漠は歩きづらいが、振り返ると波打ちぎわに自分の足跡が、自分だけの足跡が、一つ一つ残っている。アスファルトの道は歩きやすいが、そこに足跡など残りはしない」。ある小説家が残した言葉ですが、マルシエンの価値を見事に表現しているのではないでしょうか。

Text:Seiichi Norishige

Marc Philipp Gemballa GmbH



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