カルティエは、4月7日のWATCHES AND WONDERS GENEVAの開幕の前に、まず2月にZoomで今年の新作を映像とカタログで紹介。3月に実機を揃えての個別展示会を開催。そしてもちろん、WATCHES AND WONDERS GENEVAの会期中にはオンラインでの新作紹介を実施。さらにWATCHES AND WONDERS GENEVA終了後の4月末にもZoomで新作を紹介。さらにさらに、つい先日の7月初めには2021年新作ウォッチコレクションの展示会を開催してくれました。
ということで、今年もジュネーブにこそ行けませんでしたが、しかしおそらく過去イチバンに内容の濃い新作発表だったのじゃないかしら。それに何といっても、実機を見て触ることができたのは最高に素晴らしいこと。それ以上にわかりやすい新作発表はありませんからね。
そんな大充実ぶりのため、今年の新作は3回にわけてご紹介。第1回の最初は「タンク マスト」です。
「マスト」の名前が復活したのは久しぶり。懐かしい、という方も多いのじゃないでしょうか。
「マスト」という名前が使われるようになったのは1970年代から。そもそもは、手頃な値段のアイテムを提供することで若者などのより幅広い層にカルティエの魅力を知ってもらう、というコンセプトで生まれたコレクション。ライターや万年筆やレザーグッズなどで世界的人気を獲得しました。
そしてそのコンセプトに従い「タンク」のエントリーラインとして1977年に誕生したのが「マスト ドゥ カルティエ」。それが2004年に「タンク」初のステンレススティールモデルである「タンク ソロ」に移行。さらに今年「タンク マスト」として生まれ変わったのです。

Laziz Hamani © Cartier
「タンク マスト」は、すべてステンレススティールケースというのが特徴。ラインナップは大きく5つです。
まず1つ目が、ステンレススティールケース&ブレスレットのモデルでXL、LM、SMの3サイズ。インターチェンジャブル機構の採用によりブレスレットを工具なしで簡単に脱着可能なのも特徴です。
2つ目がカーフスキンストラップのモデルでXL、LM、SMの3サイズ。
3つ目がフェミニンなダイヤセッティングでLM、SMの2サイズ。
XLは自社開発の自動巻きムーブメント搭載。LMとSMは電池寿命約8年の最新型高効率クォーツムーブメントを搭載します。
タンク マスト

© Cartier
自動巻き、SSケース&ブレスレット、XL(41×31mm)、3気圧防水。48万9500円
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース&ブレスレット、LM(33.7×25.5mm)、3気圧防水。37万4000円
タンク マスト

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クォーツ、SSケース&ブレスレット、SM(29.5×22mm)、3気圧防水。35万3100円
タンク マスト

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自動巻き、SSケース、XL(41×31mm)、カーフストラップ、3気圧防水。44万円
タンク マスト

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クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、カーフストラップ、3気圧防水。32万5600円

タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、SM(29.5×22mm)、カーフストラップ、3気圧防水。31万200円
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、カーフストラップ、3気圧防水。85万2500円(税込・予価)
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、SM(29.5×22mm)、カーフストラップ、3気圧防水。74万8000円(税込・予価)

Laziz Hamani © Cartier
4つ目は「マスト ドゥ カルティエ」のデザインを引用したモデル。「タンク」のアイコンであるローマ数字やレイルウェイをすべて排してしまったのが特徴。1980年代のカルティエのアイテムで多用されたレッド、ブルー、グリーンの3色が選ばれているのも魅力のポイントです。
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、アリゲーターストラップ、3気圧防水。33万9900円(税込・予価)
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、アリゲーターストラップ、3気圧防水。33万9900円(税込・予価)
タンク マスト

© Cartier
クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、アリゲーターストラップ、3気圧防水。33万9900円(税込・予価)

Laziz Hamani © Cartier
そして5つ目が、いちばんの注目作。カルティエ初の光発電クォーツ式ムーブメント搭載モデルです。
4年の歳月をかけて開発した「ソーラービート™」は、電池の耐久年数が約16年という優れたもの。また、アイコンのローマ数字インデックスを切り抜き、その下の発電素子に光を当てるという機構も、特筆すべきスマートさ。これが本当に洗練されていて、ダイヤルに目を近づけて凝視しても、まったくわかりません。
さらに、ストラップ素材の約40%をリンゴの廃棄物などからつくったという、非動物素材にこだわったところも注目点。その生産工程は廃棄物の再利用に加えて、水使用量やエネルギー消費量などの削減も実現しているそう。
要するにこの新作は、今の時代にクローズアップされているエコロジーや、リサイクル、サステナビリティ、エシカルといった問題への優れた回答というべきモデル。そういう意味でも大注目作なのです。
タンク マスト

© Cartier
光発電クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、非動物性素材ストラップ、3気圧防水。32万5600円(税込・予価)
タンク マスト

© Cartier
光発電クォーツ、SSケース、SM(29.5×22mm)、非動物性素材ストラップ、3気圧防水。31万200円
タンク マスト

© Cartier
光発電クォーツ、SSケース、LM(33.7×25.5mm)、非動物性素材ストラップ、3気圧防水。32万5600円
タンク マスト

© Cartier
光発電クォーツ、SSケース、SM(29.5×22mm)、非動物性素材ストラップ、3気圧防水。31万200円

Laziz Hamani © Cartier
次にご紹介するのも「タンク」の新作。「タンク ルイ カルティエ」です。
3代目当主ルイ・カルティエにより「タンク」が生み出されたのは1917年。そして1922年に新しいデザインが誕生。ケースを若干長く、角を丸くした新モデルが「タンク LC」=「タンク ルイ カルティエ」と呼ばれることになります。
新作の「タンク ルイ カルティエ」は、そのオリジナルのデザインを受け継ぎつつ、1980年代の「マスト ドゥ カルティエ」のカラーダイヤルを引用したのが特徴。イエローゴールドケースにレッドダイヤル、ピンクゴールドケースにブルーダイヤル、という色合わせがエレガントでラグジュアリーな雰囲気。やや小振りなLMサイズに、手巻きムーブメント、というのもクラシカルで魅力的です。
タンク ルイ カルティエ

© Cartier
手巻き、18KYGケース、LM(33.7×25.5mm)、アリゲーターストラップ、3気圧防水。163万6800円(税込・予価)
タンク ルイ カルティエ

© Cartier
手巻き、18KPGケース、LM(33.7×25.5mm)、アリゲーターストラップ、3気圧防水。163万6800円(税込・予価)
さて。ということで、今年は久しぶりに「タンク」の新作が登場。「タンク」好きの福田としては、非常に心躍っております。
個人的な感想をいうと、まず「タンク マスト」のブレスレットモデルが新鮮な印象。SSブレスレットの雰囲気が「タンク フランセーズ」が登場したときのことを思い出しました。
ブレスレットの着け心地は軽く快く良好。来年あたりは、これのコンビ(バイカラー)とかゴールドのモデルが出るのでしょうかね。
自動巻きムーブメント搭載のXLは、センターセコンドと日付表示付きで、まさに「タンク フランセーズ」のような雰囲気。実用性やスポーティーさをお好みの方は、このモデルはよいのでは。ムーブメントも自社製の「Cal.1847 MC」と申し分なし。若い世代に大おすすめしたいです。
で、本当に個人的な好みをいうと、昔からの「タンク」崇拝者としては、やはり「タンク」の優美なダイヤルにデイト表示は不要かなぁ。秒針もない方が好み。なので、クォーツモデルの方が好きですね。クォーツは軽いところも好ましいです。
そしてそういう意味でも「ソーラービート™」は本当によかった。いまの時代にピッタリなところも素晴らしい。これは今年を代表するモデルのひとつだと思います。
そしてそして「タンク ルイ カルティエ」は、手巻きというのが最高に好み。かなり本気で欲しいですね。
【問い合わせ】
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757
Text:Yutaka Fukuda