独自の製法で開発されるラグジュアリーなアクセサリー
「T・MBH(ティー・エムビーエイチ)」を知ったのは、誕生日祝いに知人からカードケースをプレゼントしていただたのがきっかけでした。
見るからに上質な素材を使っていて、シンプルなのに機能的。気になって調べてみると、革小物司の岡本拓也さんが、“見たことのないものをつくりたい”という情熱から、製法自体を開発していることがわかりました。
今回、紹介する革小物は、すべて「葉合せ」という厚さ約0.4㎜の革を2枚貼り合わせ、のりしろをズラすことでステッチがなくても剥がれにくくした製法によるもので、内側の革を一度組み立てたあとに、外側の革でそれを包むように仕上げているのが特徴です。
ステッチがないので糸のほつれもなく、穴を開けないため薄くても強度は十分。1日3回砥ぐ革包丁でしかできない、斜め漉きする技術があるからこそ完成したモデルなんだそうです。
実際に使ってみてわかったのですが、薄いのに驚くほどの大容量。ジャケットの内ポケットに入れてもかさばらず、スマートに持ち運べます。
この技術のすごさを聞きつけた世界的ラグジュアリーブランドのスタッフが、製法を教えてほしいとやってきたこともあるんだとか。
こういうオリジナリティがありながら、長く使える普遍的なアイテムこそが、僕の目指しているミニマルワードローブの真骨頂なんです。
表側の素材は、最高級ポロサスクロコを使用。クロコダイルは一つひとつ異なるため、自分だけのオリジナルとして、その表情を楽しむことができます。
内装にはドイツ・ぺリンガー社のノブレッサカーフを用い、コバの処理は特別に配合したロウを繰り返し入れ込んで手磨きで仕上げているそう。
あと、つくり手の岡本さんに深く共感したのが、色気の正体が何なのかを自分に問いかけながら、ずっと追い求めている姿勢。革製品自体に色気があるわけではなく、どうしたら色気のある革製品がつくれるのか、正解のない答えをずっと探しているんです。
その点では僕もまったく一緒で、僕は着こなしで、岡本さんは製品に宿る色気を深掘っているわけですが、岡本さんなりのいまの答えがちょっとした違和感だというんです。マチがないのに大容量だったり、堅牢そうな見た目なのにフニャフニャの素材だったり……。
表面に控えめに付けた「えくぼ」と呼ばれる18Kピンクゴールドのブランドアイコンもそうした考えから。配置場所はとくに決まっていなく無造作に装着するらしく、そのへんのセンスも抜群にいいですよねえ。話を聞けば聞くほど、揃えたくなってしまうシリーズです。
カードケース 6万8200円
コインケース 6万8200円
二つ折り財布 13万7500円
長財布 24万2000円
/すべてT・MBH(TAKUYA MADE BY HAND)
【問い合わせ】
TAKUYA MADE BY HAND
03-5829-4135
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii