乗れば毎日が楽しい趣味車としての軽トラック
ジワジワとブーム到来か? そう思われるのが商用車の軽トラックです。実用性は折り紙付き。見方によっては世界一Kawaiiピックアップトラックといえそう。きっとアメリカのカーガイなら泣いて欲しがるToy感ジワる稀有なクルマだと思います。
一般社団法人全国軽自動車協会連合会の発表データ(2020年4月~2021年3月 軽四輪車通称名別新車販売確報)によれば、このカテゴリーの双璧はダイハツ・ハイゼットとスズキ・キャリィです。“農道の覇王”はどちらでしょうか?

ダイハツ・ハイゼット
昨年度の販売台数はハイゼット7万8039台、キャリィ5万6288台です。現状をいえばダイハツ・ハイゼットが11年連続販売台数1位ですが、2009年度まではスズキ・キャリィがイチバンでした。いまでは水をあけられた格好ですが、この2車は永遠のライバルなのです。

スズキ・キャリィ
こうなると他メーカーはどうよ? と知りたくなりますが、軽トラック3連星を形成していたホンダ・アクティが2021年4月でディスコンに(終了)。現状、軽トラック市場は日産NT100クリッパー、ミツビシ・ミニキャブ、マツダ・スクラムの3車がスズキ・キャリィのOEM。トヨタ・ピクシス、スバル・サンバーの2車がダイハツ・ハイゼットのOEMとなっているのです。つまり2強状態。
今回は軽トラック第一弾なので個別に紹介できませんが、アウトラインは前出2台の基本性能がベースとなります。軽トラックが欲しいとなれば、スズキ・キャリィとダイハツ・ハイゼット、どちらを買うべきでしょう?

軽商用車といえどもクオリティが上昇
ダイハツは1998年にトヨタの連結子会社になってから抜群にクオリティが上昇しました。とくに乗用タイプのムーブなど、過去を振り返ればその差は歴然。一方のスズキはキャラクター作りが際立ち、そのコンセプト(発想力)から秀でています。実際に選ぶとなればデザインの好み、ディーラーの立地、セールススタッフやメンテナンス担当者との相性が決め手となるかも知れません。
パッケージも似ています。車内の前後スペースが窮屈でも荷台が大きい標準タイプ、そして、車内空間にゆとりをもたせたロングキャビン(その分、荷台は若干縮小)の2つのモデルを用意しています。

ダイハツ・ハイゼット・ジャンボ(オフビートカーキメタリック)
ダイハツ・ハイゼットは標準タイプを『ハイゼット・エクストラ』、ロングキャビンを『ハイゼット・ジャンボ』といいます。

スズキ・スーパーキャリィ(クールカーキパールメタリック)
スズキ・キャリィは標準タイプを『キャリィKC / KX』、ロングキャビンを『スーパー・キャリィ』といいます。

スズキ・スーパーキャリィの車内スペース
お仕事ではなく趣味車としてパーソナルに使うなら、断然、ロングキャビンの居住性(快適性)に注目です。シートがリクライニングするのがロングキャビンの特徴であり魅力でもあります。近場ならいざ知らず、ちょっと足を延ばすロングドライブをこなすなら、後方にスペースがある方がストレスは溜まりません。無論、趣味によりこのジャッジは変わりますが……。

ロングキャビンは荷台をひと工夫(スズキ・スーパーキャリィ)
実用的な商用車である軽トラックにも、いまでは運転支援装置が付いていますのでパーソナルユースに適しています。どちらも歩行者を認識し作動する衝突回避支援ブレーキ、車線逸脱警報機能、誤発信仰制機能は前後に有効です。ただし、そこは商用軽自動車なのでグレードにより装備差はあるとお考えください。

ダイハツ・ハイゼット(ライトローズマイカメタリック)
さらにパーソナルユースに最適な点は、多彩なボディカラーのラインナップです。男性ならミリタリー調のカーキや精悍なブラック、女性には淡いメタリック系カラーが似合うでしょうか。ダイハツ・ハイゼットは8色、スズキ・キャリィはグレードにより5色揃います。

商用車だけにどちらもマニュアルミッションと4WDの設定がある(画像はダイハツ・ハイゼット)
パフォーマンスで選ぶとすれば、ダイハツ・ハイゼットはATが4速、スズキ・キャリィは3ATですが自動変速式MTの5速AGSの設定があります。また、どちらを選択しても5MTと4WDの設定があり、趣味車ならクラッチを踏むのもわるくないと思います。
ホント自動車趣味って際限がありませんね。ワタシも既に半世紀を生きておりますので、「そろそろ終活の1台を」と思う一方で、「ダンナ~1台じゃ足りませんよ」と悪魔の囁きが聞こえます。終活車+軽トラックを最低ラインと考える毎日です。
Text:Seiichi Norishige