意外と手頃で、ガシガシ履いても痛みにくいのも魅力的!
足踏み状態だった梅雨にも遂に突入し、これが無事過ぎ去れば まもなく本格的な夏の到来です。そうなると気になってくるのが、デッキシューズや、デッキモカシンとも呼ばれるボートモカシン。
そこで41弾では、夏の日に履きたくなるボートモカシンをピックアップしてみたいと思います。
まず、モカシンとはアメリカの先住民が履いていたスリッポン形式の靴のことを指し、一枚革で足を包み込むように作られたもの。靴のアッパー部分をU字状に縫う縫合を"モカシン縫い"と呼んだことから名付けられました。
一方、デッキシューズとは、ヨットやボートなど船のデッキ(甲板)で使用するためのシューズ全般を指し、ボートシューズなんて呼ばれることもあります。
ソールとデッキの間にある水を効率よく排出し、グリップ力も保てるようアウトソールには切れ込みや波形が刻まれているのが特徴です。最も有名なのは、「スペリーソール」ですかね。
そんなデッキシューズの中で、革ひもが履き口の周りをグルッと巻いてあるモカシンで レザータイプのものをボートモカシンやデッキモカシンと呼び、アッパーには古くから動物油でなめした「オイルドレザー」が使われてきました。
その油は、撥水効果を高め、水を吸ってしまうことや、水分による革の劣化を抑える効果が求められたのですが、付加された機能のすべては船乗りたちの安全を守る要素だったんですね。
ボートモカシンは、船=マリンをイメージさせることから、夏とは切っても切れない一足と認識されるようになり、手頃な割に品良く見えることからつねに人気を博しています。
では、話をクルリンパと戻してボートモカシンの投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
パラブーツの「バース」
まずは、スリッポンの回に登場頂いた@thechildmandalorianさんの投稿から、パラブーツ(Paraboot)の「バース(BIRTH)」です。

1908年、フランス・アルプス山脈の麓にある小さな村イゾーにて、レミー・リシャールポンヴェールが小さな靴工房シェブロンの靴革裁断師となったことが、パラブーツの起源。
その後、工場のエージェントとして、自身が描いたデッサンをパリに持参すると注目が集まり、その靴を製造・販売して名を馳せ、1926年にはアメリカへ渡航します。
帰国後にラテックスを輸入していたアマゾンの港「パラ(Para)」と、彼がアメリカ合衆国で発見した興味深いブーツ(Boot)を合わせたところから、ブランド名を「パラブーツ(Paraboot)」と名付けるのです。
そんなパラブーツの数ある名作の中で、正統な作りからフランス海軍にも採用されていた実績を持つ本格デッキシューズが、「バース」です。
ボートモカシンというと、油をたっぷり染み込ませたダークブラウンのイメージが強いですが、@thechildmandalorianさんの白も爽やか、かつ涼しげで素敵ですね。
夏の装いにピッタリだし、清潔感もあって、女性ウケも良さそう。夏に履くんだから、思い切って白を選ぶという選択肢、アリです。真似したくなってきました!
パラブーツの「マーロ」
続いては、オールデンに始まり、ニューバランスやクラークスなど頻繁に登場いただいている魂企画の常連 @imademoboxerさんの投稿から、パラブーツ(Paraboot)の「マーロ(MALO)」です。

先ほど紹介した「バース」にラギッドなラグソールを装着したモデルが、キャンプモック「マーロ」。
ライニングもすべて本革で構成されていて履き心地は抜群です。キャンプモックという名前から、海だけでなく山まで幅広いアウトドアフィールドで活躍してくれます。
ちなみに、デッキシューズの特徴であるシューレースから履き口の内側をぐるりと一周巻いてあるサイドの革紐にはもちろん存在理由があって、これを調節することで履く人のかかとの形にフィットしてホールド感もアップし、脱げにくくなるのです!
@imademoboxerさんがチョイスした、黒のキャンプモック「マーロ」も良いですね。本来アウトドアシーンで履くための靴ですが、黒だと締まって都会的に見え、街履きにも向いてそう。
ハーフパンツに合わせてみようとのことでしたので、着用なされたらコーディネートでの投稿もよろしくお願いします。いつも楽しみにしていますので。
L.L.ビーンの「カスコ・ベイ・ボート・モック」
次は、雨に強いブーツの回に登場頂いた@fukudadenime430さんの投稿から。L.L.ビーン(L.L.Bean)の「カスコ・ベイ・ボート・モック(Casco Bay Boat Mocs)」です。

1911年、創設者であるレオン・レオンウッド・ビーン(Leon Leonwood Bean)がアメリカ・メイン州にてビーン・ブーツの愛称で有名な「メイン・ハンティング・シューズ」を発明したことからブランドはスタート。
1942年にはアメリカ軍用のブーツと備品をデザインし、1944年に売り出されたトート・バッグが爆発的なヒットを続け、いまでも世界中で愛されているアウトドアブランドです。
名作だらけの逸品の中で、アッパーには耐水性のあるレザーを使用し、ハンドソーンで仕上げた、クラシックなボート・シューズが、「カスコ・ベイ・ボート・モック」。濡れた甲板の上でも滑りにくい、細かい溝が入っているゴム製アウトソールが特長です。
素足で履いても心地良い、レザーでカバーしたソックライナーも見逃せません。

洗いざらしなオックスフォードの白シャツとオリーブドラブの軍パン、そこにブラウンのボートモカシンを合わせる王道のアメカジ、最高です!
シャツはタックアウトしがちですが、タックインして穿くことで大人っぽく見え、清潔感も増していますね。
シューズとベルトのカラーマッチングも完璧で、バッグのサンドベージュも効いていて、もう言うことありません。
#靴魂では全身コーディネートを披露してくださる方は多くないので非常に貴重。ぜひ今後も素敵な投稿で我々を楽しませてください!
コールハーンのボートモカシン
4人めは、@naotaka49さんの投稿。コールハーン(COLE HAAN)のボートモカシンです。

1928年、トラフトン・コールとエディ・ハーンによって誕生した、コール ハーン。
ニューヨークにグローバルクリエイティブセンターを置き、アメリカを代表するライフスタイルアクセサリーブランドへと成長を遂げています。
1988年にはナイキ(NIKE)傘下となり、エアなどテクノロジーを搭載させたシューズを世に送り出し、注目を集めました。
ハイテクなソールを履いたモデルが多くなったコールハーンですが、クラシックなボートモカシンもやっぱり素敵ですね。
前述したように油がたっぷり染み込んだオイルドレザーは、クリームやワックスなどの浸透が悪いのですが、@naotaka49さんはサフィールの製品を使って、美しく磨き上げています。

Before画像と比べていただくと、輝きが全然違いますし、栄養をたっぷり吸って革が喜んでくる感じが伝わってきます。
やっぱり靴磨きって素晴らしい! またぜひ他の靴のお手入れをした投稿もよろしくお願いします。
ボッテガ・ヴェネタのボートモカシン
最後は、 @the_mentalist0928さんの投稿。ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)のボートモカシンです。

1966年、北イタリア・ヴィチェンツァにてミケーレ・タッデイとレンツォ・ゼンジアーロが創業した、ボッテガ・ヴェネタ。
"ボッテガ"とは工房のことで、熟練の腕を持つ職人たちが高品質の革を使って丁寧に作りあげた商品を世に送り出して有名になり、2001年にはグッチグループの傘下に。
クリエイティブディレクターにトーマス・マイヤーが着任して一気に世界で注目され、話題のブランドへと成長していきます。
ブランドを最も象徴する、冊切りのレザーを丁寧な手作業で編み込んだ技法"イントレチャート"が一世風靡したのは記憶に新しいですね。
このボートモカシンもアッパーにはイントレチャートが採用されており、他のボートモカシンとはだいぶ雰囲気が異なります。
@the_mentalist0928さんは5年以上前に購入したとのことで、ダニエル・リー(Daniel Lee)が新しいクリエイティブ・ディレクターに任命されたのが2018年ですから、トーマス・マイヤー時代のものですね。
でも、履かずに5年以上も寝かせていたとは…。こじラグ谷中もやりがちですが、やっぱり靴は履いてこそナンボです。ぜひ おろしてたくさん履いてあげてください!
そして着用画像もポストしていただけたら幸いです。
やっぱり夏が訪れると、ボートモカシンが履きたくなります。スニーカー以上 革靴未満な感じが大人の足元にちょうどイイし、意外とお手頃。船で履くのが起源ですから水にも強くて、ガシガシ履いても傷みにくいのも嬉しいです。暑くなるとサンダルかローファーあたりがレギュラー化しますが、その間くらいに位置するボートモカシンがあるとコーディネートの幅が一気に広がりますので、ぜひ一足買ってみてはいかがですか?
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!
Edit:Ryutaro Yanaka