今では数少ない工場でのみ生産されているようです
ディテールやシルエットを細部まで表現したファッションイラストや ポップで軽妙なキャラクターなどを巧みに描くイラストレーターとして活躍するソリマチアキラさん。オーダースーツを颯爽と着こなすウェルドレッサーとしても有名です。1950〜60年代のスタイルを愛しながらも時代の空気を捉え、それほど執着せず、着なくなったものは手放してきたと語るソリマチアキラさんが、思い入れが強くて捨てられなかった服を紹介する企画の第6回目は、インバーアラン(INVERALLAN)のチルデンベストです。
2003年に購入したインバーアランのチルデンベストなんですが、素材がコットンなんです。
まさか インバーアランにコットン製があるのは知りませんでした。
ふらっと自由が丘を散歩していたとき、おじさんがひとりで運営している小さなセレクトショップに偶然出逢い、そこのウィンドウに飾られたものを「おっ」と思って覗いてみたら、インバーアランだったんです。
インバーアランのハンドニットは、一枚のニットを一人の職人が数十時間以上編み上げると言われていて、以前紹介したオールドタウンのジャケット同様にそのストーリーに惹かれてしまいます。
ちなみに、コットン糸はイングランドのヨークシーにて紡績・染色されており、すでに多くの紡績工場が廃業してしまい、今では数少ない工場でのみ生産されているようです。
これを購入した頃は とくにブリティッシュ スタイルが気になっていて、ブレザーの中に着たくて購入しました。
昔からウールでアラン編みのクルーネックは持って着ていたんですが、コットンは珍しいし、肌触りも良いので使いやすいですね。
若い頃はガンジーニットなどガチガチでタフなものも着ていましたが、さすがにもう楽なものも方が良いものが着たくなって(笑)、その点このインバーアランは素晴らしく、ずっと着続けるつもりで手放すことはないと思います。
イラストレーター
ソリマチアキラ
東京で生まれた後、新潟に移り住んで 18歳までを過ごす。中学生の頃よりアイビーやプレッピーに触れ、ファッションに傾倒。古着屋や百貨店内のショップスタッフ、バーテンダーなど、さまざまな職種を経験する傍ら、イラストレーターとしての活動をスタートさせ、本業に。雑誌、広告など幅広い分野で活躍。一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ会員。1966年東京生まれ。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka