独特な色気を醸し出すラテン生まれのスリッポン
「Jesus Canovas(ヘススカノヴァス)」は、スペイン生まれのシューズブランド。ラテンな雰囲気漂う、さまざまなタイプのシューズを世に送り出しているのですが、なかでも注目したいのが、ブランドを代表するモデル「JC528」です。
アッパーには、履き込むほど柔らかくなり、足になじむ選りすぐりのレザーを使用。革がとにかく柔らかいので、かかとを踏んでステップダウンのように履いても、跡がついてしまうこともなく、すぐに元の状態に戻ります。
ちなみにこのモデルは、別名「Julio Iglesias Shoes(フリオ・イグレシアス シューズ)」とも呼ばれ、全世界におけるレコード・CDの売り上げが3億枚を超える、世界で最も成功したラテンシンガー、フリオ・イグレシアスのトレードマークとなっている靴。ほかにも、グレース・ケリーの孫や、ブラッド・ピットなどといった、名だたるセレブたちも愛用しているそうです。
ただ僕自身、噂は聞いていたものの、一昨年前まではほとんどノーマーク。ところが、船旅でスペインに寄港したとき、現地での人気ぶりを目の当たりにして、俄然興味が沸いてしまいました。
本物のセレブたちは、リゾートや船旅でビーチサンダルやエスパドリーユのような感覚で履いて、シーズンの終わりごろには処分してしまうらしいのですが、使い捨てするのは惜しいほど。ソールにラバーを貼れば減りを気にせずガンガン履けますし、縫い目から水が浸み込んでくることもほとんどなく、多少の雨なら問題ありません。
質実剛健な堅牢さがウリの英国靴に慣れている人にとっては、まさにその対極ともいえる異次元の存在かも……。同じラテンのお国柄でも、イタリアのトッズが手がけるドライビングシューズ「ゴンミーニ」とは別の、快適性や独特の色気があるんですよね。
アッパーに施されたゴールドの「JC」刺繍も、イケているのか、ダサいのかビミョー過ぎるライン。ただ、この絶妙なサジ加減が、いい意味でラテンのブランドらしい陽気な雰囲気を醸し出しているんだと思います。
それにしても、この抜け感は半端ない! フリオ・イグレシアス本人が、ネイビージャケットに白シャツ、白パンに赤のこの靴を合わせている写真を見たのですが、色気がダダ漏れしていました。「JC528」はカラーバリエーションが豊富なのも特徴ですが、僕はまず黒からトライしようと思います。
3万800円/Jesus Canovas
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KML ファッションハウス
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MINIMAL WARDROBE
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii