普通車の稼ぎ頭はミニバンのデリカD:5だけ?
クルマ選びの基準は人それぞれ。趣味性を求めるか、それとも実用性か? 無論、相対的評価やファッション性も加味されます。
仕事柄、新車を中心とした販売台数をチェックするのですが、もはやトヨタ1強という感じで、2021年度初めの4月実績ではベスト10中、上位6台をトヨタ車が占めます。で、他社はどうかといえば、日産ノート7位、ホンダ・フリード9位、スズキ・ソリオ10位という有様。
統計上はベスト50まで毎月発表されるのですが、なんともお寒いのが三菱自動車です。
軽自動車をひとまず脇に置けば、4月はミニバンのデリカD:5が一番売れたミツビシ車でランキング38位、1,014台の新規登録台数。トレンドのSUVは新型エクリプスクロス(PHEV)が46位の591台。SUVの末っ子RVRはお手頃価格なれどベスト50圏外。
1ヵ月単位では不利もあるでしょう、ということで、2020年度のベスト50を調べると、デリカD:5が唯一のミツビシ車で12,960台を売り上げランキング43位。他人事とはいえ、冷や汗が止まりません。
現状、三菱自動車のカーラインナップは16台。SUVがアウトランダーPHEV(436万4800円〜)、エクリプスクロス(253万1100円〜)、RVR(214万9000円〜)。売れているデリカD:5は安いか? といえば、車両価格391万3800円とこのクラスのミニバンとしては決して安くありません。
どんなクルマか? デリカD:5の際立った部分は、ミニバンなのにSUVのような悪路走破性が高いことです。通常ミニバンは多人数が乗れる、荷物が積める、シートアレンジ自由自在などとアピールするところですが、車種別HPを見ると、まるでパジェロかよ! ってくらいワシワシと頼もしく悪路を走るD:5の姿がメインビジュアルなのです。
確かにミニバンでクロスカントリー性能を謳ったクルマってありませんね……。ちなみにデリカD:5にはシティ派向けにアーバンギアという派生モデルもあります。
三菱といえばパジェロは言うに及ばず、ラリーで一世風靡したランサー・エボリューションなど記憶に残るところですが、こうした世界的名声を獲得したエポックな名車も既に消え去ってしまいました。確かにいまから4WDのスポーツセダンを作るわけにはいきませんが、EVでズバ抜けた技術を発表し世界から注目されているわけでもありません。どうしたんだミツビシ!
こんな思いを抱きながら一人の自動車趣味人としてニュースリリースをチェックしていると、「人とくるまのテクノロジー展2021 ONLINE」に出展~独自の電動化技術とS-AWC技術を紹介~という案内を発見しました。
ミツビシファンの夢が再び花開くのか? 塗り絵でもしながら期待して待つとしましょう。頑張れミツビシ!!
Text:Seiichi Norishige