ポイントはアッパーとソール、そして それらをつなぐ製法です!
曇りや雨のグズついた天気が続き、令和3年は記録的な早さで梅雨入り予測。その上 ダラダラと長引きそうなんて聞くと、気持ちも沈みます…。
どうしたって濡れるので、着る服だけでなく履く靴にも注意が必要ですし、メンテナンスを怠ると革が傷んだり、カビが生えたりと滅入ることばかりですが、下を向いてばかりもいられませんので、37弾は雨に強い靴をピックアップしたいと思います。
まず重要なのは、雨を最も受けるアッパー。オイルドやシボ、ガラスなど防水や撥水性に優れた加工が施されたレザーや、起毛素材で雨ジミがつきにくいスエードを選ぶのが吉です!
そして、次はソール。レザーソールがダメではありませんが、水が染み込みやすいですし、駅や建物内などコンクリートの床では滑るので注意が必要です。ラバーソールの方が安心ですし、ダイナイトやビブラムソールならグリップ力も高いので、滑りにくく安全です。
最後に、アッパーとソールをつなぐ製法。マッケイ製法の靴は、ソールから中底までがダイレクトに縫い合わされており、底面にステッチが露出しているものはラバーソールでも水が糸を経由して浸ってくるので おすすめできません。
グッドイヤーウェルト製法の靴は、底面のステッチが内部とは繋がっていないので、底面から水が浸入する心配はありませんが、激しい雨で水分量が多い場合はコバとアッパーのすき間から浸ってくる可能性はあります。
アッパーに接する部分を山状に盛り上げたストームウェルト製法、L字状に縫い付けられた幅広のウェルトを使ったり、アッパーを外側に折り曲げた上でウェルトを重ね合わせるノルウィージャン製法などは、グッドイヤーウェルト製法より防水性が高まります。
セメント製法の靴は、アッパーとソールを貼り付けているだけで底面にステッチも、コバのすき間もほぼないため雨に向いていますが、革靴としての魅力は…。
では、話をクルリンパと戻して 雨に強い靴の投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
ジョンロブの「モーヴァル(Morval)」
まずは、@ika_furaiさんの投稿から、ジョンロブ(JOHN LOBB)の「モーヴァル(Morval)」です。
2015年秋冬シーズンに登場した「モーヴァル」は、丸みを帯びたラスト(木型)「0015」を採用したダブルバックルのカジュアルな一足。
アッパーには、天然のシボが特長で水を弾くバッファロレザーを採用し、「クラシックラバーソール(CLASSIC RUBBER SOLE)」を履いているので、雨でも安全安心です。
また、ストームウェルトも装備しているため、縫い目から水が侵入するのも防いでくれます。
@ika_furaiさんは素敵な靴をたくさんお持ちですが、雨の日にもジョンロブを履けるなんて素晴らしすぎる。なんてったって 20万超えですから…。
でも、防水スプレーなしでも玉のように水を弾く投稿を拝見してしまうと、アリな気がしてきますし、欲しくなります(笑)。
バッファローレザーが経年変化すると、どんな表情に育っていくのか興味がありますので、また投稿をお願いします。
オールデンのプレーントゥ「N8407」
続いては、白い靴 そして#靴魂ライブでもピックアップさせて頂いた@fashionable_scientist_madaraさんの投稿。オールデン(ALDEN)のプレーントゥ「N8407」です。
オールデンが放つバリーラストのプレーントゥ「N8407」は、アッパーにタフなスムースレザーであるホーウィン社のクロムエクセルを採用しているのが特長。オイルをたっぷりと染み込ませているので雨を弾いてくれ、安心して履けます。
ソールはおそらく全面ラバーで出し縫いもなく、ダブルリバースウェルトを採用しているため、防水性は高そうです。
これぞ、オールデンなオーソドックスな外羽根のプレーントゥですが、シューレースをさり気なくネイビーに替えているあたりニクいですね。
革が履き込むことでどんな風合いに育っていくのか知りたいので、予約しているというネイビークロムエクセルシューズとともに またポストをお願いします。
パラブーツの「アヴィニョン(AVIGNON)」
次は、クロケット&ジョーンズ、ストレートチップ、そしてグッチのホースビットローファーの回に登場頂いた、もはや常連の @kobon0725さんの投稿から。パラブーツ(PARABOOT)の「アヴィニョン(AVIGNON)」です。
梅雨時期になると街にパラブーツが溢れ、とくに「シャンボード」を目にする機会が増えますが、オンでも履ける靴となると、エレガントな印象でドレッシーに履きこなすことができる「アヴィニョン(AVIGNON)」に軍配が上がります。
オイルをたっぷりと含んだリスレザーのアッパーで、パラテックス(PARATEX)ソールに比べると少し薄めで控え目なソール『グリフ2(GRIFFⅡ)』を履いている「アヴィニョン」は雨にも強く、パラブーツが誇るノルウィージャン製法ですから、浸水の心配もいりません!
@kobon0725さんは、いつも素敵な靴を綺麗に磨いていて、見る度に背筋が伸びます。リスレザーって一生懸命磨いてもイマイチ輝かなくてヤキモキするんですが、美しい状態をキープされていますね。
「アヴィニョン」に あの緑のタグは不要と思っていましたが、@kobon0725さんのを拝見していたら段々アリになってきました(笑)。
42nd ロイヤルハイランド エクスプローラーのパンチドキャップトゥ ダブルモンク「CHN6102」
4人めは、同じくストレートチップの回に登場頂いた@akigara_shoesさん投稿。42nd ロイヤルハイランド エクスプローラー(42ND ROYAL HIGHLAND Explorer)のパンチドキャップトゥ ダブルモンク「CHN6102」です。
「靴のこと教えて、祥子先生」企画でもお馴染みな42nd ロイヤルハイランドのエクスプローラーは、"探検家"の意の如く、ノルウェージャン ハンドソーンウェルテッド製法を採用した都会的なカントリーライン。
そのラインからリリースされている、メダリオンで飾られたキャップトゥのダブルモンクです。
オリジナルのラバーソールに加え、L字型が特徴となったノルウェージャンウェルトは水の侵入を防いでくれるので、雨の日も安心。@akigara_shoesさんが仰るように、歩きやすくて疲れない良靴と評判です。
@akigara_shoesさんのポストはコンセプトがしっかりしていて、いつも拝見するのが楽しい! 欲を言うならトップスとどんな合わせをしているのか知りたいので、気が向いたらお願いしたいです。
ジョセフ チーニーの「グロブナー(GROSVENOR)」
最後は、ウィングチップの回に登場頂いた @yuu.nsmrさんの投稿。ジョセフチーニー (JOSEPH CHEANEY)のスエードウィングチップ「グロブナー(GROSVENOR)」です。
「スエード靴は雨に濡れるとシミになるから履かない方が良い」なんて言われることがありますが、じつはヨーロッパでは"スエード"は「レインシューズ」として親しまれ、雨の日にも履く素材。
起毛させた毛によって革表面までの距離が生まれ、革の内部まで水が浸透するのを防ぎます。
さらに、スコットランドやアイルランドの高地に住むケルト系民族ゲール人が履いていた労働靴が由来のウィングチップに入ったギザギザの切り替えや穴飾りは、水はけを良くするためのディテールなので、スエードのウィングチップは雨に適した靴。
外羽根だとカントリー色が強くなりますが、ジョセフチーニーの「グロブナー」は内羽根なので、ビジネスでも着用可能です。
@yuu.nsmrさんもポップな靴下を上手に合わせていて参考になります! お手入れグッズも充実していますし、いつも綺麗な状態で履いているのに感心させられます。
今後も美しく手入れされた靴をたくさんポストしてください。楽しみにしています。
いや〜、天気予報を見るのが鬱になるくらい雨マークのオンパレードですが、雨に強い靴を履いて出掛けられたら少しは気分も上がりますよね。子供のころ長靴を履くのが楽しみだったように。
ただ、いくら雨に強い靴であっても履いてそのままはNGですから、最低限のメンテナンスは怠らないように心掛けてください。その方法についてはまた別の企画で紹介させ頂きます!
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!
Edit:Ryutaro Yanaka