ヨーロッパ各地にはお米を牛乳で煮る、いわゆる「ミルク粥」のレシピが多く存在します。英国ではライス・プディングと呼ばれ、根強い人気のある伝統食です。
お米を主食にしている我々日本人にとっては邪道に思える調理法かもしれません。私もずっと敬遠していた食べ物で、初めて食べたのは実は英国を離れて日本へ帰国する数日前のことでした。フラットを引き払い、最後の数日は近しい友人宅に泊まらせてもらっている間にその時はやってきたのです。
「日本人にこんなものを出すのもなんだけど」との前置きとともに彼が運んできたのが自家製のライス・プディングでした。申し訳程度にラズベリージャムが載せられていて「見た目は決してよくはないな」というのが正直な感想。
断るわけにもいかないので食べてみると予想以上に美味しく、驚きを隠せないほどでした。全然乳臭くなくて、あっさりしたキャラメルのような味わい。とろみとお米の食感もよく合います。食わず嫌いはよくないなと改めて思った次第です。
今日は私に嬉しい驚きをもたらしたライス・プディングの作り方をご紹介します。本場にはプディング用のお米がありますが、日本のお米でも美味しく作れます。タイ米を使うことも可能です。皆さんのお口に合うと幸いです。
完全家庭料理としてのライス・プディング
ライス・プディングはレストランやカフェなどで食べるというよりは、もっぱらお母さんが作った家庭料理という立ち位置にあるデザートです。多くの英国人にとっては子供の頃の思い出を呼び起こすものだそうです。スコーンやケーキ類を抑えて好きなデザート1位にあげる人も多いようです。
材料5つで作る英国風ライス・プディングの作り方
①研いだ米を小鍋に用意する。
②牛乳、塩、砂糖、バニラビーンズ(茶葉袋などに入れると取り出しやすい)を加えて、中火にかける。バニラエッセンスを使用する場合は、調理後火から下ろした後に加える。
③一度沸騰させたら弱火に落として35〜40分煮込む。焦げつかないように頻繁にかき混ぜる。タイ米を使う場合は20〜25分程度。
④粘り気が出て、米が柔らかくなったら完成。温かいままでも、冷やしても美味しく頂ける。シナモンやハチミツ、お好みとジャムとともに。
《材料》4〜5人分
白米 1合
牛乳 800ml
砂糖(粗糖) 180g
塩 小さじ1
バニラビーンズ ½本分 or バニラエッセンス小さじ1
photos&text: Kohki Watanabe
◆渡邉耕希(わたなべ・こうき)◆
愛媛県出身の1992年生まれ。ロンドンの大学でクラシック音楽を学ぶ。現地でヴィンテージ・アイテムの魅力に取りつかれ、服や靴を中心にアイテムの歴史的背景まで探求するようになる。無類のスイーツ好きが高じて開設したYouTubeチャンネル「The Vintage Salon」にて料理や英国菓子作りを通して日本で実践できる英国的生活を発信している。