靴の中にはホコリや汚れが溜まり、汗の水分でカビが繁殖しやすい状態なのです
ビジネスシューズの基礎知識を、紳士靴の専門店「42ND ROYAL HIGHLAND（フォーティセカンドロイヤルハイランド）」の鳥海祥子先生に、女性目線でご指導頂きながら 学んでいく企画「靴のこと教えて、祥子先生」。第15回めは、革靴のニオイについてです。
＊撮影時のみ感染症対策実施のもとマスクを外しています
FORZA：祥子先生、また質問が届きました。
35歳 公務員の男性から、「だんだん暑くなってきたら革靴が蒸れるように感じて、脱いだ後のニオイも気になります。下駄箱に仕舞ってある靴も若干カビくさいように感じてそちらも気になる。そこで靴の中の汚れやニオイは どう対策したら良いか教えてください。必要な道具などについても知りたいです」。
というわけで、これからの季節とくに気になる革靴の中の手入れとニオイ対策について教えてください。
祥子先生：これから気温もぐんぐん上がって、日本だと湿度も高いので汗を掻きやすい季節がやってきますからね。
じつは、靴の中のメンテナンスは見落としがちで、靴の中にもホコリや汚れは溜まりますし、汗の水分でカビが繁殖しやすい状態になっています。
FORZA：通気性が良いと言われるレザーソールを履いていても一日履いて脱ぐと、蒸れているのを感じますし、たまに中を覗くとホコリが溜まっているのが見えますよね。
祥子先生：靴下由来の繊維くずや、靴下に付いていたホコリなどが、靴のつま先に取ってある「捨て寸」という部分に溜まりやすくなります。
このホコリが革の油分や水分を奪うと乾燥が進み、ホコリ自体が湿気を溜め込むとカビが発生しやすくなり、そのホコリを栄養として さらにカビが増殖してしまうこともあります。
FORZA：うわー、悪循環。アッパーの手入れのときにも聞きましたが、革靴にとってホコリは大敵なんですね。
祥子先生：天然素材であり油脂を含んだ皮革は、もともとカビが付きやすいんです。そこからさらに、靴箱の中に仕舞われている状態や、汗やホコリといった追加条件で カビは発生しやすくなります。
それを防ぐためにお手入れをしたり、普段から注意したりすることが必要でして、コロナ禍で常備するようになった消毒用などのアルコールが役に立つわけです！
FORZA：コロナのせいで、めっちゃ家にあります。
祥子先生：このアルコールを含ませたコットンなどで靴の中を拭きながら、つま先に詰まっているホコリや繊維くずをしっかり取り除いてください。
FORZA：結構、奥まで突っ込みますね（笑）。
祥子先生：全部掻き出すように取り除くのが重要なんです。もし取りづらい場合は、割り箸など細く長い物にコットンを巻き付け、ゴムで固定して掻き出せば、ほとんど取り出すことができます。
FORZA：マツイ棒だ！
祥子先生：こまめにメンテナンスがされて ホコリが溜まっていない状態なら、サッと拭くだけで十分。ニオイも軽減でき、清潔さをキープできます。
FORZA：コロナのせいで欠かせなくなったアルコールは、こんなところでも役立ってくれるんですね。
ウィルトール（Will tool） 300ml 2310円祥子先生：ちなみに、以前ご紹介した100％天然由来の「ウィルトール（Will tool）」も抗ウィルス作用だけでなく、細菌やカビ類を死滅させる効果も高いので、靴の内側にスプレーしておけば清潔な状態を保てます。
FORZA：こちらも備えておけば、コロナ対策的にも安心ですね。
祥子先生：もしカビがあるようでしたら、カビに効果のある強力なクリーナーや、サドルソープの出番になります。
サフィール サドルソープ 1320円祥子先生：ワックスやクリームを落としてから、ブラシや濡れタオルなどを使って靴全体に均一に水分を馴染ませ、付属のスポンジを湿らせてサドルソープを泡立てながら丁寧に洗浄します。
カビや汚れが取れたら、今度はスポンジをよくすすいで、再度水を含ませて靴を洗い流し、泡が落ちるまで繰り返してください。
最後に固く絞った濡れタオルで水気を拭き取り、その後よく乾燥させる流れなんですが、正直私もまだ未経験です（笑）。初めて開けてみました。
FORZA：イイ匂いですか？（笑）。 革靴を自分で洗うのには若干抵抗を感じますし、実際使いこなすには少々ハードルが高そうなので、専門の方にお任せする方が安心ですかね？
祥子先生：そうですね。靴をクリーニングしてくれるお店も充実しているので、そちらにお任せするのが賢明かもしれません。
祥子先生：保管する際の話に戻りますが、プラスチックではなく、ニスが塗られていない木製のシューツリーを選んで入れておくと、型崩れ防止に加えて吸湿効果もあり、革靴を良好な状態に保ってくれます。
祥子先生：また保管場所ですが、風通しがよくなるよう注意してください。靴箱の扉はたまに開放して、風通しをするのも重要です。
FORZA：換気して中の空気を入れ替えないと、湿気も逃げませんもんね。
祥子先生：ちなみにですが、足は１日でコップ約１杯分の汗を掻くなんて言われていますが、サイズの大きい靴を履いていると足が緊張状態になってしまい、さらに汗を掻きやすくなるという話もあります。
FORZA：大きい靴を履くと、脱げないよう つねに力が入ってしまい緊張している感じ。分かります。
FORZA：こんなチャップリンみたいなサイズ選びじゃダメってことですね？
祥子先生：ちょっと大袈裟すぎますが（笑）、緩い靴を履き続けると、足だけではなく身体にも支障をきたしてしまうと思います。
祥子先生：いいフィットの靴を選んで、正しく履くことも最終的に足のニオイ対策につながるかもしれませんね。
FORZA：今回も勉強になりました！ ありがとうございます。家に帰ったらすぐに、革靴に詰まったホコリと繊維ゴミを取り除こうと思います。
さて、こんな素敵な祥子先生に靴にまつわる質問がありましたら、FORZA STYLEの無料会員登録をして頂き、コメント欄からドシドシお寄せください。登録も質問もお待ちしています！
鳥海祥子
42ND ROYAL HIGHLAND スタッフ
15歳から声楽を学び、数々のコンクールで受賞。勉強のため１年間イタリア・ローマへ渡るうちに一念発起して、革靴業界へ転身。42ND ROYAL HIGHLANDでスタッフとして働き、販売に加え、靴磨きや靴づくりも学ぶなど真摯な取り組みが評価され、各方面からの信頼も熱い。2021年よりFORZA STYLEにて「祥子先生」に就任。靴にまつわる質問に答えていく。
【問い合わせ】
42ND ロイヤル ハイランド 代官山
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Photo：Naoto Otsubo
Edit：Ryutaro Yanaka
